private rehearsal 2020
接触を避けざるを得ない日々が積み重なってきた。
停止したさまざまなものごとを恢復させながら、これから僕たちは距離や関係について、本来のことを考え直すことになるのだろうと思う。
アタラシイ日常、という言葉も流布されるけれど、実際には”新しい”とされることに耐えながら、心では本来の本当の日常について、思い想い探すことになるのではないかなと、思えてしまう。
たとえ2メートルだのそれ以上だの離れていても、同じ「場」に居るとき、僕らは同じ空気に触れている。そんなに近距離でなくても、皮膚は何かを感じることができる。
大切な関係には、触覚が関わっているのではないか。
空気を介して触れ合っている、ということ。
触れ合い、から人は何かを生み出してゆく、ということ。
そんな、さまざまな、かつてはごく普通だったことについて、僕はいま思いを重ねている。
居合わせること。立ち会うこと。ともに、ということ。
ダンスが生み出す感動はその典型の一つかもしれないと思う。
ヴァイブレーション。
ダンスでは、おなじ場で共鳴が起きる瞬間が大切だ。
ひたすら感じている状態。
理解も解釈も気にせず、ともにいる状態。
同じ匂いを嗅いでいる。
同じ振動を震えている。
同じダンスを感じながら、
ダンスの場では内臓と内臓さえもが、間接的に触れているのかもしれない。
同じその場にいる人を感じ合っている。
ということの貴重さに、いま改めて思いを馳せる。
もういちど人が人に近づきあう時期が、きっと来る。
とても待ち遠しい。
(新作2020稽古ノートより)
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5月30〜31日に予定しておりました櫻井郁也の新作ダンス公演は、新型コロナ感染症の対策のため、本年10月3日〜4日に延期となっております。くわしいご挨拶や前回公演の記録などを、上記サイトにて掲載中です。ぜひ、ご一読ください。