フランス トゥルーズのくらし

フランス 南西部の街 トゥルーズからのお便り

どら焼きとフランス人

2021-11-13 21:59:32 | グルメ

どら焼きとフランス人

 

伴侶がエシャンジュを始めた。

(仏人が日本語を勉強し、日本人がフランス語を

勉強する交換授業のこと)

相手は、アドレ-ヌ 。おかっぱ頭の女性30歳だ。

日本の文化に傾倒し、弓道もやっている。

エシャンジュの中で、偶然、映画「餡(あん)」が

話題が出たらしい。

でも餡がどんなものか、彼女は知らないと言ったそうだ。

そこで、今日

エシャンジュ終了後、伴侶が手づくりの

どら焼きをそっと出した。小さなお皿に2つ。

1つをぱくりと食べた。が、2つ目は手を付けない。

「不味いの?どうしたの?もう1つ食べないの?」

「う-ん。う~ん。本当はね、妹にもって帰ってあげたいの。」

「そうなんや。妹さんと一緒に住んでいるんやね!」

「でもまだたくさん残ってるよ。」

と聞くや否や彼女は2つめもパクリ。

はにかみ屋で、神経質で、ややもすれば

自己表現の乏しい女性らしいが、

帰り際「メルシ-」の言葉を残して、

妹さんにどら焼きを

持ちかえったのは言うまでもない。

 

フランスには、日本文化に魅せられている人は多い。

生け花、柔道、空手など。そして最近では

Manga (漫画)、コスプレに夢中になり、日本語を

話す若者も多くいる。

ひょっとして日本人以上に日本文化に造詣が深い人が

多いのかもしれない。

そして同時に、日本のおいしい食べ物に

恋している人たちだと言っても過言ではない。

 

小豆は、フランス産、有機栽培のもの。

小粒で、あっさりしている。

 


大根の気持ち

2021-11-02 21:42:24 | 日記

大根の気持ち

 

健康管理に欠かせない日本伝統の食材は、

ゴマ、魚、大根、大豆、海藻類、茶の6つだと言われる。

日本人の長生きの秘訣は、戦後の欧米食の取入れと

この伝統食材のお陰げかもしれない。

さて、大根だがトゥル-ズでは、

みずみずしい新鮮な大根が、なかなか見つからない。

日仏ハ-フの熟年マダムよると、

「大根?近所のアラブのお店で、時々売っています。」との情報。

 

早速、恋人にでも会いに行くように、

わくわく心を躍らせながら、かの店に直行。

「これだこれだ!」丸々とした

白ねずみ(十数センチ)くらいのまぎれもない大根。

尻尾もあって なかなか愛らしい。

先ず、大根おろしにして、おそるおそる試してみる。

「なかなかいけるぞ!コレ!」

翌日、みそ汁にも入れてもらったが、こちらも

申し分がない。

日本の大根の味とほとんど遜色がない。

このチビ大根、Navet Marteau ( ナヴェ・マルト-) 

と言うらしい。

ナヴェは かぶらや大根のことを意味し、

マルト-は金槌(ハンマ-)と辞書に記載されている。

俗語だが、マルト-の意味がもう1つ。 

「気が狂っている、頭がおかしい」と書かれているし、

古語では「間抜け、バカ者」と付け加えられている。

このチビ大根に私は心から同情してしまう。

日本では、「大根役者」という比喩もある。

日仏で大根をバカにしている。

「リンゴの唄(※)」に入れ替えて、

「大根は何も言わないけれど~♪♪」

でも私は 大根を決してバカにしないぞ!!


「オバケなまこ」と「ハチミツ」

2021-10-31 23:20:20 | 日記

「オバケなまこ」と「ハチミツ」

公設市場の2階にあるシ-フ-ドレストランに

一緒に行こうと友人が誘ってくれた。

 

そこでメニュ-と一緒に出されたパンが

一切れの「オバケなまこ」だった。

ホールの担当者に、どこから買っているのかと尋ねた。

「階下(公設市場)のパン屋さんから、、」だと言う。

翌朝、パン屋さんに直行。

店頭に目をやると、でっかいパンでいっぱい。

一本は長さが1メートル弱 、重さはなんと2,25 Kg。

形が「オバケなまこ」そのもの。

幾重にも、積み上げられ、その数には度肝を抜かれた。

田舎パン(パン・ドウ・カンパ-ニュ)だ。

好みに合わせてスライスしてくれる。

素朴で、表面には粉がまぶされ、焦げ色がつき茶褐色だ。

香ばしく、テクスチャ-(繊維質)の食感がとてもいい。

 

何回か通っているうちに、販売担当のお姉さん

(といっても60歳は過ぎている?)と、親しくなり、

ある日、日本のお土産を、そっと手渡した。

それから少したったある日の事、

市場に行くと今度は、お姉さんが

ハチミツの小瓶セットをお返しとばかりに

プレゼントしてくれた。バカンス先の郷土土産。

これも素朴な味の「ハチミツ」

(ミエル・ド゙ウ・カンパ-ニュ)だった。

 

「カンパ-ニュ」という響きは

子供の頃に思い切り駆け巡って遊んだ野山

の香りと味がする。

 


留年カボチャ

2021-10-28 03:57:25 | 日記

留年カボチャ

大学受験ではあるまいし

カボチャに留年なんかあるものか?

と思っていたら、あったのだ!

 

我が家では、野菜、果物の皮、種などを捨てずに

ベランダに埋め込む。だからミミズは元気だし、

蜂、カタツムリ、そして野鳥もやってくる。

昨年アパ-トを一年間留守にした。

帰宅後すぐに気になるベランダに目をやると

丸い大きな葉っぱ。(カボチャかな?)

数日後に、つぼみができ、

しばらくすると黄色い花が咲いた。

太陽の光を浴び、見る見るツルは伸び

大きくなっていった。

土の栄養不足と、

日照時間不足の為(アパ-ト北向き)なのか

カボチャは直径十数センチほどにしかならなかったが、

収穫し、取り込んで、切ってみた。

そして、てんぷらやリゾットに変身させた。

家主の欲目か、買い求めたモノより美味しく感じる。

来年の収穫を期待しつつ、

マルシェで買って、料理に使った後のカボチャの種などを

ベランダの数か所にせっせと植えている。

来年用だ。

ひょっとして留年して、

さらに大きな実を作ってくれるかもしれない、、、。

 


おやじの仕事

2021-10-23 04:46:42 | 日記

 

おやじの仕事

「ハシモ(あだ名)のおじちゃん 仕事何してるん?」

小学生の長男が一緒に下校してきた友達に尋ねられた。

自宅玄関わきには ワインのカートンが十数箱

山積みにされていたからだ。

当時 私は輸入食品のバイヤ-をしていた。

コンテナでフランスから運ばれてくるワインは

積み場所によって70度を超えるという。

高温でワインが気化して吹きこぼれるのもある。

こうなると売り物にはならない。

職責を全うするため、極力たくさんの不良品を

低額で会社から買う。

酸化したワインでも 飲めそうなものは飲むが、

飲むに堪えないものもある。

その場合は料理に使う。週に1度の休日にイタリア料理を作る。

食い意地がはったのが高じて、昨今、週に2-3回料理をする。

フランス人男性は、ワインは勿論、甘いデザ-トにも目がない。

そして、彼等はいそいそと買い物かごをさげて、

朝市に仕入れに行き、夜は料理をする。

こうした日常生活をおくるフランス人男性は少なくない。

男性1人がメモを持ちながら買い物をする姿は、

日本ではあまり見かけない。

もう40歳に手が届く年齢になった長男の友達に、

今、答えようかな?

「おやじの仕事は、主夫!」だよってね。