フランス トゥルーズのくらし

フランス 南西部の街 トゥルーズからのお便り

「オバケなまこ」と「ハチミツ」

2021-10-31 23:20:20 | 日記

「オバケなまこ」と「ハチミツ」

公設市場の2階にあるシ-フ-ドレストランに

一緒に行こうと友人が誘ってくれた。

 

そこでメニュ-と一緒に出されたパンが

一切れの「オバケなまこ」だった。

ホールの担当者に、どこから買っているのかと尋ねた。

「階下(公設市場)のパン屋さんから、、」だと言う。

翌朝、パン屋さんに直行。

店頭に目をやると、でっかいパンでいっぱい。

一本は長さが1メートル弱 、重さはなんと2,25 Kg。

形が「オバケなまこ」そのもの。

幾重にも、積み上げられ、その数には度肝を抜かれた。

田舎パン(パン・ドウ・カンパ-ニュ)だ。

好みに合わせてスライスしてくれる。

素朴で、表面には粉がまぶされ、焦げ色がつき茶褐色だ。

香ばしく、テクスチャ-(繊維質)の食感がとてもいい。

 

何回か通っているうちに、販売担当のお姉さん

(といっても60歳は過ぎている?)と、親しくなり、

ある日、日本のお土産を、そっと手渡した。

それから少したったある日の事、

市場に行くと今度は、お姉さんが

ハチミツの小瓶セットをお返しとばかりに

プレゼントしてくれた。バカンス先の郷土土産。

これも素朴な味の「ハチミツ」

(ミエル・ド゙ウ・カンパ-ニュ)だった。

 

「カンパ-ニュ」という響きは

子供の頃に思い切り駆け巡って遊んだ野山

の香りと味がする。

 


留年カボチャ

2021-10-28 03:57:25 | 日記

留年カボチャ

大学受験ではあるまいし

カボチャに留年なんかあるものか?

と思っていたら、あったのだ!

 

我が家では、野菜、果物の皮、種などを捨てずに

ベランダに埋め込む。だからミミズは元気だし、

蜂、カタツムリ、そして野鳥もやってくる。

昨年アパ-トを一年間留守にした。

帰宅後すぐに気になるベランダに目をやると

丸い大きな葉っぱ。(カボチャかな?)

数日後に、つぼみができ、

しばらくすると黄色い花が咲いた。

太陽の光を浴び、見る見るツルは伸び

大きくなっていった。

土の栄養不足と、

日照時間不足の為(アパ-ト北向き)なのか

カボチャは直径十数センチほどにしかならなかったが、

収穫し、取り込んで、切ってみた。

そして、てんぷらやリゾットに変身させた。

家主の欲目か、買い求めたモノより美味しく感じる。

来年の収穫を期待しつつ、

マルシェで買って、料理に使った後のカボチャの種などを

ベランダの数か所にせっせと植えている。

来年用だ。

ひょっとして留年して、

さらに大きな実を作ってくれるかもしれない、、、。

 


おやじの仕事

2021-10-23 04:46:42 | 日記

 

おやじの仕事

「ハシモ(あだ名)のおじちゃん 仕事何してるん?」

小学生の長男が一緒に下校してきた友達に尋ねられた。

自宅玄関わきには ワインのカートンが十数箱

山積みにされていたからだ。

当時 私は輸入食品のバイヤ-をしていた。

コンテナでフランスから運ばれてくるワインは

積み場所によって70度を超えるという。

高温でワインが気化して吹きこぼれるのもある。

こうなると売り物にはならない。

職責を全うするため、極力たくさんの不良品を

低額で会社から買う。

酸化したワインでも 飲めそうなものは飲むが、

飲むに堪えないものもある。

その場合は料理に使う。週に1度の休日にイタリア料理を作る。

食い意地がはったのが高じて、昨今、週に2-3回料理をする。

フランス人男性は、ワインは勿論、甘いデザ-トにも目がない。

そして、彼等はいそいそと買い物かごをさげて、

朝市に仕入れに行き、夜は料理をする。

こうした日常生活をおくるフランス人男性は少なくない。

男性1人がメモを持ちながら買い物をする姿は、

日本ではあまり見かけない。

もう40歳に手が届く年齢になった長男の友達に、

今、答えようかな?

「おやじの仕事は、主夫!」だよってね。


セパ-ジュと俳優さん

2021-10-14 03:15:18 | 日記

セパ-ジュと俳優さん

 

平日の昼、トゥル-ズのフレンチレストランでのことでした。

ソムリエさんのおすすめでグラスワインを注文、

(ワインはちょとうるさいぞ!という感じで)グラスをゆっくり回し、

口に含んだ後、口をすぼめて空気を

いっぱい入れて、香りを楽しめるようにごくん。と。

「マズ~い !!(こんな白ワインは今まで飲んだことがない !!)」

返品かなと思ったが、そこはぐっとこらえた。

(よくあること。どうせ安物のグラスワインなんだ、、

星付きのレストランではないので仕方ない!と自分に言い聞かせた。)

そして前菜がサービスされ、先ほどのこの不味い代物に再度口をつけた 。

ところが、「なななん~と!!」

「先ほどの不味いオバケは見事な変身」

一口目が強い苦みを感じたのに、2口めは、食事の引き立て役に早代わり。

ワイン自身も大変身。

一体何物なのか?このワイン。

ソムリエ曰く、地元フランス南西部から、直納されたワイン

‘’コリウ-ル‘’らしい。

コリウ-ルの主体のアペラシオン(「原産地統制呼称」)は、

「グルナッシュ・グリ」というセパ-ジュ(ブドウの種類)。

グルナッシュ・ブランの従兄で、単一品種として、瓶詰されるのは

比較的稀だそうだ。まさに一隅の出会い。

このセパ-ジュは役者で言うと主役俳優ではなく、

大部屋の俳優さんと言えなくもない。

こうしてみると、ワイン市場と映画の世界に何らかの共通点が見いだされてくる。

映画監督はワインの生産者、映画の脚本家がワインの杜氏さん、

そしてセパ-ジュが主演俳優又は脇役、その他の出演者。という具合だ。

なぜ名もない俳優さんである、グルナッシュ・グリが主演男優として登場してきたのか?その背景には、いくつかの理由が考えられる。経済的背景、消費者心理、などなど。

近年世界でワイン愛好家が急増し、市場は分かりやすく、親しみやすく、

気軽に手軽に楽しめるワインの登場を待ち焦がれていたからだろう。

フランスワインの味表現で最もよく使われる説明に、(味の)「複雑性」

という言葉があるが、私にしてみれば この言葉は味だけではなく

ワイン産地や種類にも当てはまると考える。

ラベルを見ただけでは何が何だかよく分からない。

中国では、ここ10年でワイン愛好家が急増。

観光で来仏した彼達がお土産にワインを買い求める際、大きな字で単純に

「ボルド-」と明記されているワインを盛んに買い求めたといわれている。

当時の中国市場では「シャト-〇〇」と書かれていても何のことだか

よく分からなかったからにちがいない。

商品自体が見た目で「複雑」だったからだ。

大きな字で「フランス」「ボルド-」と書いてあるだけで十分だったのだろう。

一方でチリなどに代表される新興国ワインメーカ-はこの2文字を

使えないのでセパ-ジュをきちんと明記して、手軽な価格で販路を拡大する

しか術はなかったのだろう。そして今や世界中の人々が、セパ-ジュの知識を少しずつ得、

自分の好みのセパ-ジュが何なのか?と言った未知の世界への探訪がこうして始まっていく。

マ-ケットは「複雑怪奇な世界」から「単純明快な世界」へと変化していく。

この新興国の大きなうねりは、フランスワインメーカ-にも大きく影響を与える。

彼らに低価格で分かりやすい「セパ-ジュ」ものワインを作らせ、

更に世界的な競争力を加速させてゆく舞台づくりをさせていくことになる。

 

さて最後に、私がテイステイングした コリウ-ルのメーカ-の商品説明概要を

下記のようにまとめておきます。

「隠されていたものが明らかになるワイン。ワインの花の花束 シトラス(柑橘類)の調べ。

入口(1口目、業界ではファーストアタックと言います、)は表現力豊かで アロマの香りいっぱい。果物をかんだ時の感じに似ている。

シトロンの実、すなわちソフトでニガイ酸味。でもその酸味は圧倒的な苦い酸味ではなく、適度で心地よいインパクトがある。」

(フランス人ってやっぱり言葉巧みですよね!イタリア人もそうだけど、、、。この両国が、実は毎年世界のワイン生産量の1位2位を争っているのだ。)

この個性的なワインに適した料理は、ロット(タラの1種)のタジン、タイカレ-、

または香辛料がよく効いたタパス。だそうだ。

 

ある有名な3ツ星レストランのシェフが「私はカレ-が大好きだが、カレ-に適したフランスワインはないんだ!!!!」と断言していました。

彼はこの癖のあるワインを知らなかったんですね、きっと。

 

参考サイト

商品関連 : https://www.vinsdauteurs-collioure.fr/vins-blancs/384-domaine-parce-freres-        collioure-le-petit-gus-blanc.html

 

セパ-ジュ : https://www.terroirum.com/ja-jp/wine_term/cepage/

       

コメント関連 :  http://vinicuest.com/wine_articles/2016/09/24-sep-2016.html