フランス トゥルーズのくらし

フランス 南西部の街 トゥルーズからのお便り

受け継がれてゆくメッセ-ジ

2021-12-29 04:33:10 | 日記

 

戦中戦後、6人の子供を育てた義母。伴侶はその5番目。

私達の2度のフランス在任中に、その義母は2度来仏した。

お陰で純和風料理を心行くまで堪能できる日々だった。

 

そして日本帰国後、

ある日、鰆の味噌漬けをお土産に我が家にやってきた。

あまりの美味しさに舌がとろけそうだった。

一切れ1200円の代物だそうだ。

33年前 、当時では 考えられない高値。

家族は5人なのでそれだけで6000円。

義父亡き後のわずかな年金、決して裕福ではなかったはず、。。。

 

お正月には、子や孫など20人から30人が集合することもあった。

義母が前もって吟味した素材は、一級品としか言いようがない。

すべてが 割烹料理店に卸される素材だそうだ。

焼き肉用の牛肉は4kg調達。

鯖寿司は10本程度すべて一人で作った。

 

ビ-ル大瓶を1ケ-ス買っていたが、足りないとみるや、

そ-っと嫁嫁に気遣わせないように

歩いて市場までスタコラさっさと、買いにいった。

子や孫はガヤガヤとおしゃべりしながら

近況を語り合い、孫の泣き声も聞こえ、狭い2階建て長屋は

足の踏み場もない。

 

義母の料理は、家族の絆を深めるための「添え物」である。

子や孫のために、もてなす瞬間が 義母の至福の瞬間だった。

 

孫たちは今、義母の料理の手はず、秘訣を忘れず、

家庭で食卓に並べる料理を手作り、

そして友人知人を招いては

気軽に手料理を振る舞う喜びを味わっている。

 

義母のモノ言わぬメッセ-ジが彼らの胸中に届いている。

口癖は「人にすることは、自分にすること」。