世界のどこかで起きていること。

日本人の日常生活からは想像できない世界を垣間見たときに記しています(本棚11)。

宗教は“平和”を目指しているはずなのに・・・

2025-01-01 14:47:09 | 日記
もう一つ、宗教と平和に関する話題を。
仏教の僧侶が書いた宗教論を紹介します。

宗教は平和や寛容を求めるものであり、
宗教そのものが戦争を支持しているわけではない。

ただ、一神教には国民を一致団結させやすい特徴があり、
それがその時代の政治家に利用されてしまう。

それを未然に防止する方法として、
ふだんから宗教間で情報交換をし、理解を深めるシステムが役に立つと思われ、
現在稼働中である、とのことです。

▢ 滅ぼし滅ぼされの歴史は日本にも…慈悲と寛容と平和を“宗教”が国家対立の中で暴走するワケウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ紛争の泥沼化の根本問題
鵜飼 秀徳:浄土宗僧侶/ジャーナリスト
2024.12.24:PRESIDENT Online)より一部抜粋(下線は私が引きました);

▶ 2024年は戦争拡大の年 背景にある「宗教」
この1年は、世界が戦争拡大への不安に包まれた年であった。イスラエルによるパレスチナ侵攻が続き、ウクライナ戦争は泥沼の様相を呈している。そこに宗教が密接に絡み合い、問題を複雑化させている。
本来、宗教とは平和や慈悲を希求するもの。進んで殺戮を仕掛けるような教えはない。だが、有史以来、宗教の名の下に戦争の惨禍が止むことはない。なぜ、宗教が戦争を引き起こすのか。その構造を解きほぐす必要がありそうだ。

▶ 宗教戦争の歴史は古くて、長い。
11世紀末以降に展開され、キリスト教勢力によるイスラム教の聖地エルサレム奪還を目的にした「十字軍の遠征」は有名だ。16世紀の宗教改革では、カトリックとプロテスタントが対立。キリスト教同士で大規模な宗教戦争に発展した。

▶ 日本国内の宗教対立の歴史
わが国に目を転じれば、6世紀の仏教導入をめぐる争いは、神道側が反発した図式である。この内戦こそ、わが国における、宗教戦争の最初であった。つまり、仏教受容をめぐる争いは宗教的な論争にとどまらず、政治的な権力闘争へと発展したのである。仏教を国教に取り込み、仏教の力で国を収めようとする権力に対し、古来からの神の世界を守ろうとする権力とが対峙した。最終的には587年の丁未ていびの乱へと発展する。
丁未の乱では、朝廷における政治的な最高権力者である蘇我馬子と、祭祀の最高権力者の物部守屋が交戦した。聖徳太子(厩戸皇子)は蘇我勢に加わり、最終決戦の前夜に白膠木ぬるでで四天王像を彫り上げ、「この戦いに勝った暁には、四天王を祀る寺を建てることをお約束します」と発願し、結果、蘇我氏が勝利した。あえなく物部氏は滅ぼされ、仏教がわが国に根を下ろした。
時はくだって17世紀の島原の乱でも、宗教戦争の様相を呈した。構造としては、幕府が日本人を皆仏教徒にする政策「寺請制度」を敷く中で、キリスト教の弾圧を目的にした戦いが繰り広げられた。結果は、幕府軍が勝利し、鎖国政策の強化とキリスト教の徹底排除へと舵を切っていく。

▶ 聖地エルサレムを巡る衝突
現在、世界情勢を左右する戦争は主に2つ。
ひとつは長年、武力衝突を繰り返してきたパレスチナとイスラエルとの戦いであり、もうひとつは2022年以降のロシアとウクライナの戦争だ。いずれも土地や権益を巡る争いであり、宗教自体が戦争の引き金になっているわけではない。しかし、そこに宗教が入ることで、争いを複雑化させている。
まずパレスチナ問題。パレスチナには、世界を代表する宗教の聖地エルサレムがある。イスラム教、ユダヤ教、キリスト教、この3つの宗教の信者にとってエルサレムは、かけがえのない聖地である。
イスラム教にとっての聖地とは、ムハンマドが昇天したと伝えられる場所に建つ「岩のドーム」。メッカ、メディナに次ぐ第3の聖地としての位置付けである。
ユダヤ教は、かつての神殿の一部であった「嘆きの壁」が、世界最大の聖地になっている。神殿には「モーセの十戒」が刻まれた石板が収められた「契約の櫃」があったとされるが、紀元前にローマ軍によって神殿が破壊された。
キリスト教にとっては、イエスが十字架に架けられ、処刑された場所に建てた聖墳墓教会がある。
この地域の歴史を紐解くと2000年前、パレスチナはユダヤ人の王国であった。それがローマ帝国に滅ぼされると各地に逃れた。のちにパレスチナにはアラブ人が暮らすようになる。ユダヤ王国に生まれたイエスは、神の福音を伝えるために宗教活動を始める。だが、ユダヤ人聖職者らによって処刑されてしまう。
イエスの死後、教えはヨーロッパに広がっていく。だが、イエスの処刑を恨む人々によってユダヤ人への迫害が起きる。19世紀末になってパレスチナにユダヤ国家を建設しようとするシオニズム(祖国復帰)運動が展開される。
ユダヤ人はさまざまな迫害の歴史を経て、第二次世界大戦後、この地に国家を樹立した。それがイスラエルである。だが今度はアラブ人が反発し、泥沼の中東戦争へと発展。1993年のオスロ合意に基づき、ヨルダン川西岸とガザでのパレスチナ自治が始まった。
だが、双方の武力衝突は止むことはなく、現在、イスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの間で報復の連鎖が続いている。この紛争は、聖地の支配権を巡る宗教的な対立と、民族的な怨嗟、欧米を中心とする第三国の思惑などが、複雑に絡み合う構造になっている。

▶ ロシアとウクライナの対立を複雑化させるウクライナ内の宗教間対立
ウクライナ戦争も、宗教対立の要素も多分に含んでいる。ウクライナとロシアの国教は同じキリスト教のグループ、正教会同士である。正教会は1国に1つの教団を置くことを原則にしている。
ソ連時代には共産主義による無神化が広がっていく。迫害にさらされたロシア正教会だが、ソ連崩壊後には蘇った。現在、ロシア人の7割強が入信していると言われ、事実上の国教となっている。プーチン大統領もロシア正教会の敬虔な信者である
他方、ウクライナの宗教構造は複雑だ。大きく分けるとウクライナ正教およびカトリック教の勢力が強い。ウクライナにおける正教会は、ロシア正教会からの独立を目指してきた歴史があり、現在は3つに分裂している
ウクライナ大使館によれば、ひとつはプーチン政権に近いロシア正教会モスクワ聖庁の権威を認めるウクライナ正教会。2つ目は、そこから独立し、ウクライナ政府を後ろ盾とするウクライナ正教会。さらに、ウクライナ独自のウクライナ自治独立正教会がある。両国の対立をより複雑なものにしている一側面として、ウクライナの中での宗教間対立がある

▶ 日本を含む多くの国家がアイデンティティ形成に宗教を利用
以上のように宗教と、国家のアイデンティティは密接に結びついている。宗教は、個人や集団のアイデンティティを形成するのに不可欠な要素だ。したがって、多くの国家が、アイデンティティ形成に宗教を利用してきた歴史があるのだ。
わが国の近代でも同様である。明治維新時、岩倉使節団が欧米の宗教視察を実施。キリスト教支配の国家構造を、取り入れようとし、結果的に国家神道体制がつくられた。これは、まさに国家が宗教的アイデンティティを利用した例であった。
ゆえに、ひとたび国家同士が対立し始めると、宗教は暴走を始める。多くの宗教は、自らの教えを絶対的真理と考える傾向があるため、対立構造の中では妥協を許さない
普段は信者らに「寛容」を求める宗教が、一転して他の集団に対する「不寛容」の連鎖となって熱狂をつくる。そこに政治的指導者たちによる権力の保持や、富の獲得などの思惑も入り込み、人々は戦争を正当化しだす。
しかし、宗教そのものが戦争を引き起こすわけでは決してない。これまで述べてきたように、あくまでも領土や資源といった経済的利益の追求や、個々の権力者の欲望の実現、特定のイデオロギーをもつ集団の熱狂などが戦争の根源である。むしろ、宗教は戦争の口実として利用されてきたと言える。

▶ 宗教を利用することを抑制する仕組み
したがって、「慈悲」「寛容」「平和の実現」「平等」といった宗教に通底する理念を、政治利用されない仕組みづくりが必要になる。翻って、宗教の本質に立ち返りさえすれば、紛争の解決への道を見出せる、ともいえる。
そのためには、異なる宗教間の国際対話の場がとても重要になってくる。相互理解を深めるとともに、宗教指導者や政治家が宗教を利用することを抑制する仕組みを構築しなければならない。
宗教間の国際対話の場としては、世界宗教者平和会議(WCRP)がある。これは1970年に京都で発足した世界最大の諸宗教間対話組織である。この会議は、宗教を超えた対話を促進し、平和のための宗教協力を目的にしている。2024年7月には国際会合が広島で開催された。だが、世間一般でWCRPの存在はほとんど知られていない。認知度を高めていく努力が必要だ。
宗教戦争の歴史は長く、その原因や構造を理解することは難しい。しかし、先にも述べたが宗教の本質的な教えに立ち返れば、平和的共存の道を見出すことができるはず。宗教が持つ平和と慈悲の精神を活かす、新たな仕組みづくりが求められる。

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教・・・同じ神様を信仰しているのになぜ争うのだろう?

2025-01-01 10:41:51 | 日記
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が信仰する唯一絶対の神は共通している・・・
今から10年ほど前に知りました。

それなのに、なぜ争うのだろう?
血を血で洗うような戦争をするのだろう?

という素朴な疑問も持ってきました。
池上さんが答えている記事が目に留まり、読んでみました。
なんと、
「同じ神を信仰しているから争う」
という論理です。

▢ 池上彰「中東情勢を理解する第一歩」…エルサレムがユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地になった理由なぜ同じ神を信じながら、長い間対立が続いているのか
2024.12.25:PRESIDENT Online)より一部抜粋(下線は私が引きました);

中東では、ガザ・イスラエル紛争やイランのミサイル発射、シリアのアサド政権の崩壊など不安定な情勢が続いている。ジャーナリストの池上彰さんは「ユダヤ教とキリスト教、イスラム教は同じ神様を信じているため、それぞれにとっての聖地も同じイスラエルのエルサレム旧市街にある。このことが衝突の原因にもなっている」という――。

▶ 神=ヤハウェ=ゴッド=アッラー
中東を扱うときに必ず登場するキーワードが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の一神教です。いずれも一神教ということは、この世界をお創りになった唯一絶対の神様を信じているということ。要は同じ神様を信じているのです。
ヘブライ語ではヤハウェ、英語ではゴッド、アラビア語ではアッラーと呼ばれています。それなのに、なぜ対立しているのか。基礎から考えましょう。
まずユダヤ教は、唯一神(ヤハウェ)を信仰し、自分たちだけが神から救われると信じる宗教です。そこでユダヤ人の民族宗教とも呼ばれます。
ユダヤ教徒は、過去にエジプトで奴隷になるなど、数々の悲惨な体験をしてきました。これは、神のいいつけを守らなかったために神の怒りを買ったからだと考えます。過去に試練を受けたのは神への信仰が足りなかったというわけです。

▶ 「1週間=7日」の根拠は聖書にある
ユダヤ人たちは、紀元前12世紀頃から「神に与えられた地」とされるカナンに住み着いたと考えられています。彼らは、神がどのように世界を創造したのかなどが書かれたヘブライ語の聖書を信仰しました。
ユダヤ教徒でもキリスト教徒でもない私は、まだ人間が誕生する前のことなのに、どうして聖書に天地創造が書かれているのだと突っ込みを入れたくなりますが、これは霊感を得た人間が、神の教えにもとづいて記述したと考えられているのです。
聖書には神は6日間かけて世界を創り、7日目に休まれたと書いてあります。これが「1週間」の始まりです。私たちは7日間を1週間として生活しています。これはユダヤ教とキリスト教の生活リズムが、明治以降に日本に入ってきたからなのです。

▶ 火も電気も使えなくなる「安息日」
ユダヤ教徒は聖書に書かれた戒律を守ることが求められ、とりわけ「安息日シャバット)」を守ることは大切です。安息日には仕事をしてはいけないとされ、これは具体的には火も電気も使ってはならないという意味になります。
ユダヤ教の安息日は金曜の日没から土曜の日没まで。この間、火も電気も使えないので、各家庭は金曜の午後は、土曜の夜までの食事の作り置きに追われます。
電気を使ってはいけないのですが、あらかじめタイマーをセットしておいて、金曜の夜になると部屋に電気が点灯するようにしておくことは構いません。しかし、エレベーターに乗って行き先階のボタンを押すと、新たに電気が流れますから、これはご法度。そこでホテルやアパートでは、エレベーターの一つが「シャバット・エレベーター」に変身。利用者は、エレベーターが自動で一階ずつ止まりながら上下するのに合わせて乗り降りするのです。

▶ パレスチナ生まれの改革者・イエス
いまから2000年ほど前、現在のパレスチナにイエスという人物がマリアから生まれたと伝えられています。イエスは、ユダヤ教がユダヤ人だけのための宗教で、厳しい戒律を守ることが求められていたことに対して改革運動を始めます。このためユダヤ人のボスに睨まれ、ローマ帝国に引き渡され、イエスの改革が反ローマ帝国の運動に発展することを恐れたローマ帝国によって十字架にかけられ処刑されてしまいます。
ところが、イエスが処刑されて3日後、イエスが復活し、信者たちの前に現れて説教をした上で昇天したという話が広がりますと、「イエスこそが救世主だったのでは」と信じる人が出てきます
ユダヤ教にはメシア(救世主)信仰があります。いまは苦難に満ちた人生であっても、いずれメシアが降臨して人々を救済してくれるという信仰です。イエスをメシア(ギリシャ語でキリスト)ではないかと考える人たちが、やがてキリスト教徒と呼ばれるようになるのです。
それまで土曜日がユダヤ教の安息日だったことから、キリスト教徒たちは、日曜日を新たに安息日としました。

▶ イスラム教の「預言者」はムハンマド
イエスが処刑された後、使徒(弟子)たちはキリスト教を布教しながら、教えを集大成。『新約聖書』が編纂されます。「マタイによる福音書」や「ルカによる福音書」など4つの福音書を中心に構成されています。
キリスト教徒たちは、イエスが地上に遣わされたことにより、神との新しい契約を結んだと考えます。それが『新約聖書』。新約は新訳ではなく、「神との新しい契約」という意味です。それまでの聖書は、「神との古い契約」として『旧約聖書』と呼びました
もちろんユダヤ教徒は、自らの信仰の対象を旧約などと呼ぶことはなく、あくまで『聖書』(律法の書)と呼んでいます。
また、いまから1400年ほど前、アラビア半島のメッカに住んでいた商人のムハンマドが、「神の言葉を聞いた」として神の言葉を人々に伝えます。ムハンマドは神の言葉を預かったとして「預言者」と呼ばれます
ムハンマドは読み書きができなかったため、「神の言葉」を人々に口伝えで伝え、人々もそれを暗唱していました。
しかし、ムハンマドの死後、「神の言葉」を暗唱していた人たちが次第に姿を消すことから、神の言葉を残そうとして、信者たちが暗唱していた内容をまとめたものが『コーラン』です。

▶ 異教徒を攻撃するイスラム過激派の理屈
私の学生時代は『コーラン』と習いましたが、いまの高校の教科書には、なるべく現地の発音に近づけようと『クルアーン』と表記されています。この書名は「声に出して読むべきもの」という意味で、黙読ではなく声に出して読まなければならないのです。
ユダヤ教は土曜日を安息日、キリスト教は日曜日を安息日としていたので、イスラム教は金曜日を安息日としました
『コーラン』によると、神(アッラー)は、ユダヤ教徒に『旧約聖書』を、キリスト教徒に『新約聖書』を与えたにもかかわらず、人々は教えを曲解したり、戒律を守らなかったりしているので、最後の預言者としてムハンマドを選び、神の言葉を伝えたとされています。ですので、ユダヤ教徒もキリスト教徒も同じ神の言葉を信じる「啓典の民」として扱わなければならないと書いてあります。
イスラム過激派がユダヤ教徒やキリスト教徒を攻撃したりしていますが、『コーラン』には、ユダヤ教徒もキリスト教徒も大切にしなければならないと記述されているのです。
イスラム過激派は、ユダヤ教徒やキリスト教徒が「神の教えを逸脱している」「イスラム教徒を攻撃してくるので、教えを守る聖戦(ジハード)を戦っているのだ」という理屈を立てているのです。

▶ エルサレムには3宗教の聖地が集中する
では、そもそもエルサレムは、なぜ3つの宗教の聖地なのでしょうか。ここにはユダヤ教徒の「嘆きの壁」と、キリスト教徒の「聖墳墓教会」、イスラム教徒の「岩のドーム」という聖地が集中しているからです。
ユダヤ教の聖書の中にユダヤ人の祖先であるとされるアブラハムが神から試される話があります。
敬虔なアブラハムの信仰心を試そうと、神は、息子のイサクを生贄として捧げるように求めます。アブラハムは命令に従い、丘の上に登り、イサクを岩に横たえて殺そうとした瞬間、神はアブラハムの忠誠心を確認して制止したというのです。
このときアブラハムは、岩の陰にいた羊を代わりに神に捧げました。そこから「犠牲の子羊」という言葉が生まれました。
その後、アブラハムが神の声を聞いたという岩を中心に、紀元前1000年頃、古代イスラエル国家を統一したダビデ王が神殿を建設しました。いったんはバビロニアによって神殿が破壊されますが、ユダヤ人たちは同じ場所に神殿を再建します。

▶ 一度追放され、戻ってきたユダヤ人の嘆き
その後、ユダヤ教の改革を進めていたイエスが神殿にやってきて布教を始めたために逮捕され、十字架にかけられて殺害されます。イエスの弟子たちは、イエスこそ救世主(キリスト)だと考え、墓があったとされる場所の上に聖墳墓教会を建設します。これがキリスト教徒にとっての聖地となります。
その後、ユダヤ人たちはローマ帝国からの独立を求めて戦争となりますが、このユダヤ戦争に敗れ、ローマ帝国によって神殿は破壊され、ユダヤ人たちは追放されてしまいます
やがてエルサレムに戻ってきたユダヤ人たちは、廃墟となった神殿のうち残された西の壁に対して祈りを捧げるようになりました。この西壁が「嘆きの壁」と呼ばれます
ユダヤ人たちが、自らの過酷な歴史を嘆いて祈りを捧げるので「嘆きの壁」と呼ばれるようになったとか、朝になると夜露に濡れている壁が、まるでユダヤ人のために泣いているように見えるので、この名がついたなど壁の名前の由来には諸説あります。

▶ 「この岩からムハンマドが天に昇った」
次にイスラム教です。イエスが処刑されてから540年ほど後、アラビア半島のメッカで生まれたムハンマドは「神の声を聞いた」として「神の言葉」を広めます。これが『コーラン』にまとめられました。
さらにムハンマドの言行録が『ハディース伝承)』としてまとめられます。
この『コーラン』と『ハディース』の中に、ムハンマドがメッカにいたある夜、天使に付き添われ、天馬に乗って「遠くの町」まで行き、そこから天に昇って神や預言者たちに会い、再び地上に戻ってきたという記述があります。この「遠い町」がエルサレムだと考えられるようになりました。
エルサレムの神殿が破壊された後、アブラハムが我が子イサクを横たえたとされる岩は、剥き出しのままになっていました。ムハンマドは、メッカからエルサレムまで空を飛んできて、この岩に降り立ち、ここから天に昇ったと考えられるようになります。

▶ 「岩のドーム」がイスラム教徒の聖地に
ユダヤ教の神殿が破壊された後、ユダヤ人たちは追い出され、世界各地に離散。エルサレムにはイスラム教徒たちが住むようになります。イスラム教徒たちは、岩が風雨にさらされて崩れるのを恐れ、岩を覆うドームを建設。692年に完成し、ドームには金箔が貼られました。これが「岩のドーム」です。
ここは聖なる岩を保護する建物であり、祈りの対象ではありません。イスラム教徒たちがメッカの方角に向かって祈りを捧げるモスクは、岩のドームの近くに建設されました。それが「アル・アクサモスク(遠い町のモスク)」です。「遠い町」とはメッカから見たエルサレムの表現です。
その結果、ユダヤ教徒にとって聖なる場所である神殿の丘(神殿の跡)が、イスラム教徒にとっての聖地にもなっているのです。

▶ 歴史が利用され、現在も争いが止まらない
現在は、神殿の丘はイスラム教徒が管理し、嘆きの壁はユダヤ人が管理しています。一般の観光客は時間を限って神殿の丘に上がることが認められていますが、ユダヤ人たちが上がると紛争になるため、境界はイスラム教徒とイスラエルのボーダーポリス(境界警察)によって共同警備され、ユダヤ人が立ち入らないようにしています。異なる宗教を信じる人たちが共存するための知恵です。
しかし時々、ユダヤ原理主義の政治家が神殿の丘に上がってお祈りをしようとするため、イスラム教徒との間で小競り合いが起きることがあります。
この3つの宗教の聖地がある地区がエルサレム旧市街(東エルサレム)です。同じ神様を信じているがゆえに聖地も同じなのです。
そして11世紀末からローマ教皇は、イスラム教徒によって占領されたエルサレムを取り戻すとして十字軍を組織してエルサレムを攻撃します。イスラム教徒にとっては、突然十字軍の名のもとにキリスト教徒の軍隊の攻撃を受けたという歴史の記憶が残ります。
これを利用して、イスラム過激派は、欧米諸国を「新しい十字軍」と決めつけてテロなどの攻撃をすることがあるのです。


・・・ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が同じ土地にある理由は、
同じ神を信仰しているから、とのこと、合点がいきました。

何かにつけて小競り合いから大きな争いまで発生する様子を見ていると、壮大な“宗派争い”と言い換えができるかもしれません。
それにしても、イエスは宗教改革者だったとは・・・。


移民を受け入れるということ。

2024-12-15 19:12:41 | 日記
日本は移民受け入れが少なく、世界から非難を受けている・・・
一方で、不法移民放置や職業訓練という形で実質受け入れている、
という声もあります。

移民に関してこんな視点もあるんだなと思わせてくれた記事を紹介します。

▢ 女児の性器をハサミで切り取り、縫い合わせる…日本のフェミニストがなぜかスルーする「女子割礼」の大問題移民を受け入れるなら、彼らの価値観も尊重する必要がある
谷本 真由美著述家、元国連職員
2024.12.15:PRESIDENT Online)より一部抜粋(下線は私が引きました);

日本に住む外国人は増え続けている。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「女子割礼や名誉殺人、児童婚、近親婚といった習慣を持つ国・地域からも移民が来る可能性があるが、いまの日本ではこうした人たちを受け入れる準備が整っているとは言えない」という――。
・・・
▶ 8歳の女児が「嫁」として売られる国がある
移民に関する議論で日本に欠けていることとして、児童保護、婚姻、生殖に関することがあります。具体的には、次の通りです。
・女子割礼
・低年齢の女児の強制結婚
・近親婚
これらは児童、とくに女児の健康や生命に関わることです。
移民の祖国の中には、幼い女児と、中年や高齢男性を強制的に結婚させる習慣が残る国もあります。移民3代目や4代目でもやる場合があり、子どもはまだ小学生というケースも珍しくありません。それも闇でやったりします。
小学生だから妊娠して死ぬことだってあります。
最近ではCNNが高齢の男性に8歳の娘を売ったアフガニスタンの家庭について報道していました。お金欲しさに自分の娘を嫁として差し出すような地域が存在するのです。こういう習慣があるところには、日本人が最近ニュースでよく耳にする地域も含まれています。

▶ いまの日本で外国人児童を救うのは難しい
こういう強制結婚を防止するため、ほかの国は結婚同意年齢を上げたり、通報したり、女児を保護したりする仕組みを整えています。
とはいえ実際、救いきれているわけではありません。結婚を拒否した女児は、家族に刃物で殺害されたり硫酸など化学物質をぶちまけられたり、火をつけられたりします。
このような悲劇が先進国でも起こっているのです。
ですから児童を守る強固な仕組みが必要で、外国人児童の危険を検知し、親から守る仕組みが必要なのです。いまの日本の体制ではおそらく不可能です。

▶ 先進国が禁止しても防げない近親婚
また、このような地域は、いとこ同士などの近親婚がいまだに当たり前です。代々いとこ同士で結婚するから生まれる子どもには障害児もかなりいます。
これはイギリスではかなり前から研究されている、公的な事実です。
たとえばイギリス北部のブラッドフォードでは、生まれつき障害があるパキスタン系の赤ちゃんの31%が従兄弟同士などの近親婚が原因でした。
またパキスタンでの近親婚で遺伝子の問題により遺伝病を抱えた子どもや障害を持った子どもが産まれることは、欧州の科学者によりよく知られた事実です。
彼らはいとこ同士を結婚させて親族を先進国に連れてくることもやります。そのほとんどはお見合いです。拒否はできないのです。結婚は子どもの頃に決まっていることもあります。これは移民3代目や4代目ですらやっていたりします。いとこ同士などの近親の結婚を法律で禁止しても子どもをつくってしまうのです。

▶ 支援が必要な移民を無視することはできない
産まれてくる子どもは障害児が多く、寝たきりなどかなり重い場合もあります。このような習慣を海外の移民先でも継続する移民は、母国でも読み書きが厳しい地域や階層の場合もあります。その人々が近親婚をし、子どもは重い障害児。親も読み書きができないので、先進国の法律や決まりが理解できません。
このような重い障害者を、先進国の自治体や施設が支えなければならないのです。法律で決まっているので、地元の人と同じ支援が基本です。
また移民を送り出す国には、婚前交際や姦通、不倫などをした女性を、親族が殺す(名誉殺人)という慣習が残るところもあります。硫酸をぶちまけて体を溶かして殺害したり、放火して焼き殺したり、石で殴り殺したりするのです。それを先進国でやってしまうわけです。

▶ アメリカやヨーロッパが直面しているジレンマ
彼らはそのような価値観ですから、当然のように、日本の「堕落した」露出の高い服装、漫画やアニメの性的な部分、飲酒、繁華街、婚前交際などを許容しないどころか憎悪を抱き攻撃の対象にします。価値観が違うから議論は不可能です。
民主主義や表現の自由が浸透していない中世の感覚の地域から人が大量に来ることは、つまり民主主義国家の中にまったく異なる価値観を抱えることになります。しかし民主主義国家においては彼らの価値観も尊重しなければならないのです。これが現在北米や欧州が直面する現代の民主主義のジレンマです。
また民主主義の国では、男女別学を要求する外国人がいたら意見を聞いて議論しなければなりません。過激派の集会やデモも認めなければなりません。何をもって違法か、反社会的かとするのは大変むずかしいのです。

▶ 「女子割礼」というあまりに残忍な習慣
途上国の中にはいまだに女子割礼が当たり前である国が、かなりの数存在します。実は日本から近い東南アジアでもやっている国があります。
女子割礼とは、幼児や乳児、女子の性器を刃物で切り取って縫い合わせる行為です。医師がやる場合もありますが、多くの地域では麻酔もなしで、民家の一角や小屋などで、不潔な刃物やハサミで、地元の産婆や祈祷師がおこないます。
一部を切り取る場合、性器をほとんど切り取る場合、針でちょっと穴を開ける場合などさまざまなパターンがありますが、もっとも凄惨なものは切り取った後に排尿や生理用の穴だけ少し残して縫い合わせるという方法です。
出産や性交の際には刃物で切り裂きます。これも素人がやる場合があります。このような残忍な習慣を、移民は先進国にも持ち込みます。子どもを海外に連れ出しておこなう親もいます。
ですからイギリスはじめ移民多数の先進国には、自治体や医療機関が通報をするなど「女子割礼を犯罪として認識させ、防ごうとする仕組み」があります。医療関係者が見分けられるようにトレーニングもあります。しかし日本ではまだ議論すらありません。

▶ 女性の命を脅かす人権侵害がスルーされている
ユニセフのデータを見るとわかりますが、女子割礼をやる国は意外と多く、西アフリカや中東、東南アジアと幅広いのです。
ちなみに女子割礼の割合がもっとも高いのはソマリアで、女性の99%が19歳までに割礼を受けます。割礼を受ける女子には死亡者もいます。
・・・
マレーシアの場合、なんらかの形で割礼を受けるイスラム教徒の女性はなんと93%にも上ります。
日本のフェミニストは夫が家事をやらないことや、本屋のお色気本に文句をいうのには多忙ですが、こういう命にかかわる真の人権侵害にはあまり声を上げません。

▶ 日本の移民受け入れには課題が山積
日本は新しい在留資格の創設をするなど、出入国管理法を大幅に緩和し、いまや先進国でもっとも外国人単純労働者が移民しやすい国になりました。
女子割礼や名誉殺人、児童婚、近親婚をやる文化圏からも人が来るわけです。
日本政府はこれらの支援策を考えておかねばなりません。
日本語が通じない人々にどのように健康上の被害を理解してもらうか、誰が女子割礼や虐待のチェックをおこなうか、児童をどう保護するか、治療費はどうするか。
先進事例が多くある欧州の国々の例を参考にしてほしいと思います。

男女の性に関しては、民族・国の文化があります。
私は医療に関わっているので、
ムスリムから男児の割礼を依頼されたり、
女子の診察は服の上からを要求されたりしたことがあります。
対応しきれないので丁重にお断りしました。

昨今、学校健診の内科診察の際、
着衣か脱衣かということが社会問題になっています。
病気を見つけるという目的からは、
ふだんの診療同様、脱衣が基本ですが、
「子どもが恥ずかしがるから」
「子どもの人権を守るために」
という理由で着衣診察化が進んでいます。

子どもの病気が見逃されてあとで見つかって重症化する方が、
子どもの人権を無視していると思うのですが、いかがでしょう。

現在日本で進められている性教育の概念は、
WHOが提唱しているものを借用しています。

しかし世界を見渡すと、ムスリムの世界ではWHOの考え方は通用しません。
ムスリムの方針をむげに否定するのではなく、
どうしてそうなっているのか、歴史と理由を分析する必要があるような気がします。
無意味に女性虐待を目的としてきたわけではないと思うから。


機内食ワインはどう選ばれているのか?

2024-08-05 20:43:41 | グルメ
私は飛行機が苦手なため滅多に乗らないのですが、
それでも30年前の新婚旅行の時は10時間以上の長期フライトを経験しました。

機内食を複数回いただき、
たぶんワインも嗜んだとおぼろげに記憶しています。

さてそのワイン、どのように選ばれているのでしょうか?
私は考えたこともありません。

あらためて考えてみると、
レストランのグラスワインのように、
お店(この場合は航空会社)のカラーで決めるのかな?
いやいや、飛ぶ地域により嗜好が異なるから変えているんだろうか?
などと妄想が広がります。

以下の記事が目に留まりましたので紹介します。
なんと、飛行中(高い高度と低い気圧)は白ワインやシャンパンは酸味を、赤ワインはタンニンをより強く感じるようになる、とのこと。
…知りませんでした。

<ポイント>
・航空会社がまず考えなければならないのは、選んだそのワインを、必要と思われるだけ調達できるかどうかということ。必要量が多いということは、小規模の生産者が手掛けるワインの大半を、候補から外さなくてはいけない。
・当然ながら購入の決断には、価格も影響を及ぼす。
・機内で飲んだとき、そのワインの味がどのように感じられるかということも、重要なポイント。高い高度と低くなる気圧の影響により、白ワインやシャンパンは酸味を、赤ワインはタンニンをより強く感じるようになる。
・空気が乾燥している機内では、私たちの味覚そのものにも変化が生じ、フレーバーを感じにくくなる。エアバス350など最新型の旅客機は機内の湿度をより高く保てるように改良されている。

■ 機内提供のワイン、航空会社はどう選んでいる? 
 Michele Robson | Contributor 
2024.7.24:Forbes Japan)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 高度およそ1万1000メートルを飛行する旅客機でワインやシャンパンを注文する乗客たちは、それらを提供するために航空会社が費やした労力を知ることもなく、その1杯を楽しんでいることだろう。航空会社はさまざまなことを考慮して、それらのワインを選び、購入している。
 航空会社がまず考えなければならないのは、選んだそのワインを、必要と思われるだけ調達できるかどうかということだ。だが、長距離路線で乗客が消費するワインの量を、予測するのは難しい。
 1回のフライトで、アッパークラスで飲み干されるワインは、平均9~12本だという。また大手航空会社では、特にエコノミークラスに大量のワインを用意しておく必要がある。長距離便ではビジネスクラスだけでも、少なくとも4種類のワインと2種類のシャンパンまたはスパークリングワインをそろえている。
 必要量が多いということは、小規模の生産者が手掛けるワインの大半を、候補から外さなくてはいけないということだ。十分な量を入手できない可能性があるほか、生産者側が供給を望まない場合もある。
 また、品質と価格、その他の要素のバランスを取る必要があることから、当然ながら購入の決断には、価格も影響を及ぼす。大量購入する航空会社は通常、良い条件での取引を期待できるが、なかには一般市場で、少しずつ販売することを好むワイナリーもある。
 一方、機内で飲んだとき、そのワインの味がどのように感じられるかということも、重要なポイントだ。高い高度と低くなる気圧の影響により、白ワインやシャンパンは酸味を、赤ワインはタンニンをより強く感じるようになる
 また、空気が乾燥している機内では、私たちの味覚そのものにも変化が生じ、フレーバーを感じにくくなる。そうした影響は、十分な水分をとり、鼻用の生理食塩水スプレーを使用することなどで、和らげることができる。
 ただ、エアバス350など最新型の旅客機は機内の湿度をより高く保てるように改良されている。今後も航空機の進化に伴い、さらに改善されていくことになるだろう。

▶ 英仏3社のワイン選び
 英ヴァージン・アトランティック航空は提携するワイン商のJeroboams Trade(ジェロボームズ・トレード)と「マスター・オブ・ワイン(MW)」のピーター・ミッチェルに、機内で提供するワインの候補リストの作成を依頼している。
 その候補から、ワインとスピリッツに関する世界基準の教育機関、Wine & Spirit Education Trust(WSET)の認定資格を取得している社内の専門家チームが、購入するワインを決定する。
 同社は4月と10月の料理のメニューの変更に合わせて、提供するワインも入れ替える。最近では、変わらぬ人気を維持するLaurent Perrier(ローラン・ペリエ)のシャンパンと、イギリスのスパークリングワイン、Hambledon(ハンブルドン)を採用した。
 ブリティッシュ・エアウェイズは航空会社で唯一、フルタイムで働く従業員としてMWを雇用している。現在そのポジションに就くティム・ジャクソンは、3カ月ごとにワインの取りそろえを変更している。
 エールフランスは5月、パリの高級ホテル、オテル・ド・クリヨンの主任ソムリエであり、受賞歴もあるザビエ・テュイザに、自社のワインリストの作成を依頼することを明らかにした。すべてのクラスの旅客とパリのラウンジの利用者に提供するワインとシャンパン、スピリッツ、フランス産ビールの選出を、テュイザが担当する。
 最上位クラスの客室「ラ・プルミエール」には現在、ローラン・ペリエのプレステージ・キュヴェ、Grand Siècle(グラン シエクル)を用意。ファーストクラスではルイ・ラトゥールのMeursault 1er cru Château de Blagny(ムルソー プルミエ・クリュ シャトー・ド・ブラニー)、ビジネスクラスではアルベール・ビショーのPouilly-Fuissé(プイィ・フュイッセ)2022などを提供している。


〇〇〇が、〇〇〇に侵攻して勝手に独立国を名乗ったが、世界のどの国もそれを認めなかった。

2022-06-29 18:20:00 | 日記
2022年6月現在、上記見出しには、
ロシアがウクライナに侵攻して・・・
という言葉が当てはまります。

全く同じ表現がアテはなる事例があり驚きました。
それは・・・

日本が満州に侵攻して勝手に独立国(満州国)を名乗ったが、世界のどの国もそれを認めなかった。

というもの。

人間なんてそんなもの、歴史は繰り返すのですね。

ロシアを批判する日本人達、
昔々、同じことを日本人もやっていたことを知るべし。