両親の郷里は、島根の奥出雲。ヤマタノオロチ伝説に出てくる川で、子どもの頃は水遊びをした。冬場は豪雪地帯になり、冬休みに帰省するときは雪景色の中で竹スキーを楽しんだこともあった。正しい日本の田舎、相方の郷里と共通するところもたくさんある。
子どもの頃から、春先の筍の季節になると、この鯖寿司が我が家の食卓に上った。鯖寿司と言っても、締めサバを乗せた押し寿司ではない。充分焼いてほぐした鯖と筍を混ぜたバラ寿司。上には木の芽が散らしてある。一年のうち、ほんのわずかな期間だけの楽しみだった。焦げ目の濃い、脂のたっぷり乗った焼き鯖の、嚙んだらじゅわっと脂がしみだしてくる味わいと、シャキシャキ筍の歯触り、そして木の芽の刺激的な香りが楽しみで、待ちかねていたのを思い出す。
鯖は大きくて1本丸ごとを竹の串にさして焼いてある。塩はしない。塩を振った鯖で作ったら、全く別物になると思う。幼少時の記憶を頼りに作るので、これが一般的な奥出雲のソウルフードなのかどうかはわからない。我が家では春のごくわずかな期間しか作らなかったが、もしかしたら鯖さえあれば色んな具で年中作るのかもしれない。
今回、調べていたら、木次のお店で、全国配送をしてくれるという事が分かった。今年は筍がもう終わっちゃったので、来年はタイミングを合わせてお取り寄せして、ちゃんと作ってみようかと思っている。
写真は、丹波の道の駅で買った、鯖と筍の混ぜご飯の素でやっつけた、なんちゃって鯖寿司。
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