加藤かけい/凍解のふたたび凍てて相つぐ死
竹本白飛/娶る日の春泥に藁惜しみなく
西東三鬼/薄氷の裏を舐めては金魚沈む
松村蒼石/うすじろくのべたる小田の二月雪
飯田蛇笏/川波の手がひらひらと寒明くる
八木林之助/蕎麦掻や父をひとりにしておきて
大須賀乙字/姉と居れば母のするよな蕎麦湯かな
渡辺水巴/うすめても花の匂ひの葛湯かな
宮下翠舟/老残の咽喉にひりりと生姜酒
西東三鬼/雑炊や猫に孤独といふものなし
阿波野青畝/膳のあしふらふらとする薬喰
西島麦南/寒卵産む鶏孤つ飼はれけり
中 拓夫/山国の縦につらなる寒の星
臼田亞浪/寒雷や肋骨のごと障子ある
幡谷東吾/焼杭の数本すでに雨氷の季
西島麦南/寒凪の落木もろく踏まれけり
日光市の永住者(北海道出身)72才 近場の定点観察・散歩写真・俳句紹介など 過去に森村誠一賞(写真俳句)受賞