祈りを、うたにこめて

祈りうた(命の喜  蔓  蔓2)

(つる)

 

―ぼくは弱いから

そうつぶやいて 君は

恥ずかしそうに

身をくねらせたのだった

―ひとりでは立てないから

 こんなふうに

 塀(へい)にしがみつくしかないんだ

 自分のことで精いっぱいで

 だれかを支えることなんて

 できないんだ なさけないけど

 

 わたしは ちいさな声で

云ったのだった

―ほんとうにそうなのかな

 君は

 弱くなんか見えないよ

 暑くても寒くても

 風でも雨でも

 君のぜんぶで 全身で

 崩れそうなこの塀を支えてきたんじゃないか

 ほら 血管まで浮かせてさ

 

 

蔓2

 

弱いと見られるのもしゃくだけれど

ほんとうだからしかたがない

風がこわいよ

雨がいやだよ

カンカン照りも 寒さもこたえるよ

 

だれかの役に立ちたい

支えられるより支えたい

でも思いっきり寄りかかるよ 塀に

いっそ  守られ上手になるよ 

根っからの弱虫なんだから

 

●ご訪問ありがとうございます。

 すっくと立つ竹がうらやましいと思うことがあります。風にも倒れない、雪にも負けない、そのたくましさ。けれど私の目は、蔓に向きます。蔓は弱虫そのものに見えます。でも、見方を変えると、塀を支えているようにも見えます。
 そう思いながらまた見ると、やはり弱そうだなと映ります。でも、正直だなと思います。自分を隠していないと。
 蔓の姿に自分が重なります。というより、もっと素直に弱さを白状しなさいと、さとされているような気持ちになります。

 

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