アンテナ素材も改良されるとのこと
2020年後半の新型iPhoneは3モデルとも5G対応がほぼ確実視されているなか、それらがミリ波およびサブ6GHzの両方をサポートするとの有名アナリスト予測が報じられています。
アップルのインサイダー情報で知られるアナリストMing-Chi Kuo氏の投資家向け最新ノートによると、全てのiPhone2020年モデルには5G技術が導入され、クアルコム製モデムチップを採用するとのこと。これに先んじてNikkei Asian Reviewも同様の予測を報じており、具体的なモデムチップ名として「Snapdragon X55」も挙がっていました。
そして5G対応iPhoneは、28GHz帯などのmmWave(ミリ波)とサブ6GHz帯(6GHz以下の周波数)の両方に対応するとのことです。これにより、米国全土にある5G基地局と相互運用できることになります。すなわち「高周波で高速だが、通信エリアが限られやすいミリ波」と「屋内でも屋外でも繋がりやすいが、速度がミリ波には及ばないサブ6GHz」の恩恵を同時に受けられるわけです。
こうしたミリ波5G対応iPhoneモデルの出荷割り当ては、2020年後半におけるiPhone総出荷の15〜20%を占めるとの見通しです。最新の5Gモデムチップ搭載は、iPhoneの製造コストや価格を押し上げる可能性もあるため、強気の予測かもしれません。
このレポートでのKuo氏のもう1つの焦点は、ミリ波5G対応iPhoneには3つのLCP FCPアンテナが採用されることです(他のiPhoneモデルでは単一のLCP FPCを使用)。Kuo氏は以前も5G対応iPhoneのアンテナはLCPになると述べており、それを繰り返したかたちです。
LCP素材は2017年のiPhone Xにて初めて採用されましたが、全てのiPhoneに導入されているわけではありません。この素材は様々な温度でも動作が安定しており、電波の損失が非常に少ないため、5G技術やアンテナの素材に適した材料と言えます。
さらにKuo氏は、LCP FPCを搭載したiPhoneモデルの出荷割り当てが、2019年の45〜50%から、2020年には70〜75%に増加するとも予測しています。その理由は、以下の三つです。
- iPhone 11の後継機は、より多くの分野でLCP FPCを採用する
- LCP FPCを搭載していなかったiPhone 7シリーズは出荷が停止され、事実上廃止されている
- LCP FPCを搭載していないiPhone XRの出荷は減少していく–
これはアップルがiPhoneラインアップ全体でLCPアンテナテクノロジーへの移行を推し進めていることを意味します。すなわち5G非対応モデルも合わせてLCPに統一していくことで、ゆくゆくは全モデルの5G対応に備えているとも推測されます。
アンテナの素材というと地味な話題にも思えますが、スマートフォンの全機能は通信キャリアとの接続ありきです。iPhone 11シリーズでも「通信が途切れる」といった不具合が報告されていましたが、ハードウェアとソフトウェアの両面で接続性の改善が図られていくのかもしれません。