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Tiger Lake搭載で税別11万円台から! ASUSの13.3型モバイルノート「ZenBook 13」を実機レビュー

2020-11-25 16:07:39 | ニュース

ASUS JAPAN株式会社は、第11世代(Tiger Lake)の「Core i7-1165G7」を搭載する上位モデルをラインナップした13.3型クラムシェルノートパソコン「ASUS ZenBook 13 UX325EA」を11月25日に発表、同日より販売を開始した。税別店頭予想価格は11万3,455円から。

同時に、ディスプレイ回転型2in1「ZenBook Flip S」、3,300×2,200ドットの13.9型ディスプレイとテンキー対応タッチパッドを内蔵した「ZenBook S」も発表されているが、ZenBook 13はフルHDディスプレイと普通のタッチパッドを搭載し、3シリーズ中最軽量な約1.15kgの軽量筐体を実現したスタンダードモデルとして位置づけられる。

とは言え、上位モデルにはほかのシリーズと同様にCore i7-1165G7が搭載されており、よっぽど冷却性能に違いがないかぎり処理性能で引けを取らないはず。そこで今回のレビューでは、通常のベンチマークに加えて、高負荷時のCPUの発熱、クロック周波数、システム全体の消費電力なども細かくチェックしてみよう。

CPU、メモリ、オフィスアプリが異なる3モデルを用意

ZenBook 13はOSにWindows 10 Home、CPUにCore i7-1165G7(4コア8スレッド、4.7GHz)またはCore i5-1135G7(4コア8スレッド、4.2GHz)を採用。メモリは8GBまたは16GB、ストレージは512GB SSD(PCI Express 3.0 x2接続)を搭載。オフィスアプリは「Microsoft Office Home & Business 2019」か「WPS Office Standard Edition (3製品共通ライセンス付)」が用意されている。

つまり、構成で異なっているのはCPU、メモリ、オフィスアプリのみ。下記のとおり、個人向けには3モデルが用意されている。

UX325EA-EG124TS(税別15万8,910円前後)

Windows 10 Home/Core i7-1165G7/メモリ16GB/SSD512GB/Microsoft Office

UX325EA-EG109TS(税別13万6,182円前後)

Windows 10 Home/Core i5-1135G7/メモリ8GB/SSD512GB/Microsoft Office

UX325EA-EG109T(税別11万3,455円前後)

Windows 10 Home/Core i5-1135G7/メモリ8GB/SSD512GB/WPS Office

【表1】ASUS ZenBook 13シリーズのスペック
製品名 ASUS ZenBook 13 UX325EA
販路 個人向け
型番 UX325EA-EG124TS UX325EA-EG109TS UX325EA-EG109T
OS Windows 10 Home 64bit
CPU Core i7-1165G7(4コア8スレッド、4.7GHz) Core i5-1135G7(4コア8スレッド、4.2GHz)
GPU Iris Xe Graphics
メモリ 16GB(LPDDR4X-4266) 8GB(LPDDR4X-4266)
ストレージ 512GB SSD(PCIE 3.0 x2接続)
ディスプレイ 13.3型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、ワイド、非光沢、輝度非公表、色域非公表、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信 Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0
インターフェイス Thunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI、microSDXC
カメラ 92万画素Webカメラ
バッテリ容量 67Wh
バッテリ駆動時間 約14.4時間 約13.9時間
バッテリ充電時間 約2.2時間
本体サイズ 304×203×13.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量 約1.15kg
セキュリティ Windows Hello対応顔認証カメラ(赤外線カメラ)
オフィスアプリ Microsoft Office Home & Business 2019 WPS Office Standard Edition (3製品共通ライセンス付)
同梱品 専用スリーブ、ACアダプタ、USBイーサネットアダプタ、USB Type-Cオーディオジャックアダプタ、製品マニュアル、製品保証書
カラー パイングレー
税別店頭予想価格価格 15万8,910円前後 13万6,182円前後 11万3,455円前後

Thunderbolt 4×2を装備、有線LANとオーディオ端子はアダプタ経由

本体サイズは304×203×13.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.15kg。67Whのリチウムポリマーバッテリ(4セル)を内蔵しており、バッテリ駆動時間はCore i7-1165G7モデルで約14.4時間、Core i5-1135G7モデルで約13.9時間。バッテリ充電時間はどちらも約2.2時間で同じだ。

なお筐体は米国国防総省制定MIL規格「MIL-STD-810G」準拠の気圧、高低温、落下、振動テストをクリアしていると謳われている。

ディスプレイは13.3型フルHD液晶(1,920×1,080ドット)を搭載。ディスプレイ上部ベゼルは9.75mm、左右ベゼルはそれぞれ4.72mmで、最大画面占有率85%の狭額縁仕様。カメラは92万画素WebカメラとWindows Hello対応顔認証カメラ(赤外線カメラ)が内蔵されている。

インターフェイスはThunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI、microSDXCカードスロットを装備し、通信機能はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0をサポート。有線LANは「USBイーサネットアダプタ」、イヤフォン・ヘッドフォンは「USB Type-Cオーディオジャックアダプタ」経由で接続する仕様だ。

MacBookにすら搭載されているオーディオ端子をアダプタ経由としたのは思い切った仕様。イヤフォン・ヘッドフォンにあらかじめ装着しておけば脱着自体は面倒ではないが、貴重なThunderbolt 4×2のうち1つを占有してしまうのはもったいない気がする。個人的にはBluetoothイヤフォン・ヘッドフォンを使ったほうがいいと思う。

本体右側面にmicroSDXCメモリーカードスロット、USB 3.0、左側面にHDMI、Thunderbolt 4×2を装備。有線LANは「USBイーサネットアダプタ」、イヤフォン・ヘッドフォンは「USB Type-Cオーディオジャックアダプタ」経由で接続。

打鍵感は良好だが、縦のキーピッチ、キー配置が変則的

89キーの日本語配列キーボードは、横のキーピッチが実測19mm前後、キーストロークが1.35mm、文字キー(Fキー)の押圧力は実測0.53N。MIL-STD-810G準拠の落下、振動テストをクリアしているだけに筐体剛性はしっかりと確保されており、強めにタイピングするとキーボード面がわずかにたわむものの打鍵感は良好だ。

【表2】キーボードの押圧力の一例
  Fキー Enterキー Spaceキー
ZenBook 13 UX325EA 0.53N 0.5N 0.51N
13インチMacBook Pro 0.51N 0.54N 0.5N
One-Netbook A1 0.61N 0.55N 0.56N
MUGAストイックPC3 0.51N 0.46N 0.47N
DAIV 4N 0.55N 0.55N 0.58N
LG gram 2-in-1 0.6N 0.6N 0.6N
16インチMacBook Pro 0.55N 0.55N 0.55N
ZenBook Duo 0.56N 0.54N 0.55N

本製品のキーボードを試用していて気になったのは、縦のキーピッチが実測16.5mm前後と狭いこと。タッチパッドを縦に狭くして、そのかわりにキーボードを縦に広げたほうがいいように思うが、そうするとパームレスト内に十分なバッテリを収められないのかもしれない。

もう1つ個人的には、Enterキーの右に一列のキーがあるのもあまり好みではない。ASUSはスペースを最大限に活用していることから「エッジ to エッジキーボード」とポジティブに呼んでいるが、筆者はEnterキーを押すさいにPgUp、PgDnキーに触れてしまいがちだ。正直、慣れるのには時間がかかりそうだ。

テレワークが日常になった現在、Webカメラの画質もノートパソコンにとって重要な性能。ZenBook 13のWebカメラは92万画素なので解像度はそれなりだが、室内光でも比較的明るく、自然な発色で撮影できる。ASUSのスマートフォン「ZenFone」シリーズのカメラのノウハウが活用されているのかもしれない。

モバイルノートパソコンとして平均以上の色域

ZenBook 13の13.3型フルHD液晶ディスプレイは輝度、色域、コントラスト比、視野角などの詳細なスペックは公表されていない。そこでカラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測を実施したところ、sRGBカバー率99.8%、sRGB比102.2%、Adobe RGBカバー率75.3%、Adobe RGB比75.8%、DCI-P3カバー率75.3%、DCI-P3比75.3%という結果となった。

広色域を謳うディスプレイにはおよばないが、モバイルノートパソコンとしては平均以上の色域を備えている。また、視野角についてはやや明るさや階調の変化は大きいが、実用上気になるほど狭いわけではない。GIF動画を用意したので参考にしてほしい。

一方サウンドについては正直評価が難しい。ZenBook 13には「DTS Audio Processing」というユーティリティがプリインストールされており、デフォルトではコンテンツモードが「音楽」になっているが、個人的には「映画」に設定したほうが好ましく感じた。またボリュームを最大に上げなければ、DTS Audio Processing自体をオフにしたほうが抜けはいいと思う。もし本製品を試す機会があったら、さまざまな設定を試してみてほしい。

第11世代(Tiger Lake)のプロセッサはGPU性能の向上が著しい

最後にベンチマーク結果を見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2506」

3Dベンチマーク「3DMark v2.15.7078」

CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」

CPUベンチマーク「Cinebench R20.060」

CPUベンチマーク「Cinebench R15.0」

3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」

ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」

Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像

Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し

比較対象としては、第10世代(Ice Lake)のCore i7-1065G7を搭載するマウスコンピューターの15.6型ノートパソコン「mouse B5-i7」(税別9万9,800円)のスコアを転載した。下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表3】検証機の仕様
  ZenBook 13 UX325EA-EG124TS mouse B5-i7
CPU Core i7-1165G7(4コア8スレッド、4.7GHz) Core i7-1065G7(4コア8スレッド、1.3~3.9GHz)
GPU Intel Iris Xe Graphics(1.3GHz) Intel Iris Plus Graphics(300~1.1GHz)
メモリ LPDDR4X-4266 SDRAM 16GB DDR4-2666 SDRAM 8GB
ストレ-ジ 512GB PCIe NVMe SSD 256GB SATA SSD
ディスプレイ 13.3型、1,920×1,080ドット(166ppi) 15.6型、1,920×1,080ドット(141ppi)
OS Windows 10 Home
サイズ(幅×奥行き×高さ) 304×203×13.9mm 360×239.3×19.8mm
重量 約1.15kg 約1.59kg
【表4】ベンチマ-ク結果
  ZenBook 13 UX325EA-EG124TS mouse B5-i7
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score 4,832 2,875
Essentials 9,836 7,793
App Start-up Score 13,031 9,979
Video Conferencing Score 8,097 6,708
Web Browsing Score 9,019 7,072
Productivity 6,766 5,622
Spreadsheets Score 5,971 5,016
Writing Score 7,668 6,303
Digital Content Creation 4,601 3,510
Photo Editing Score 7,388 4,775
Rendering and Visualization Score 2,749 2,456
Video Editting Score 4,796 3,688
PCMark 10 Modern Office Battery Life 12時間42分 3時間58分
3DMark v2.15.7078
Time Spy 1,559 627
Fire Strike Ultra 1,197 -
Fire Strike Extreme 2,167 -
Fire Strike 4,456 -
Night Raid 14,182 6,559
Sky Diver 12,862 6,078
CINEBENCH R23.200
CPU(Multi Core) 4,697 pts 4,291 pts
CPU(Single Core) 1,402 pts 1,180 pts
CINEBENCH R20.060
CPU 1,823 pts 1,628 pts
CPU(Single Core) 543 pts 446 pts
CINEBENCH R15.0
OpenGL 88.09 fps -
CPU 878 cb -
CPU(Single Core) 217 cb -
ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC) 9,278(非常に快適) -
1,920×1,080ドット 標準品質(ノ-トPC) 6,335(とても快適) -
SSDをCrystalDiskMark 7.0.0で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード 1,809.300 MB/s 562.47 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト 972.913 MB/s 482.03 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード 1467.171 MB/s 540.54 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト 908.589 MB/s 424.10 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド 344.804 MB/s 397.22 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト 440.939 MB/s 330.06 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド 39.137 MB/s 31.59 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト 110.229 MB/s 69.82 MB/s
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然 6分9秒69 -
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps 4分12秒31 -

ZenBook 13 UX325EA-EG124TSはCore i7-1165G7(4コア8スレッド、4.7GHz)、mouse B5-i7はCore i7-1065G7(4コア8スレッド、1.3~3.9GHz)を搭載しているが、「Cinebench R23.060」のCPUスコアは約1.09倍の4,697 pts、「Cinebench R20.060」のCPUスコアは約1.12倍の1,823 ptsにとどまっている。

 一方、大幅な性能向上が見られたのが3Dグラフィックス。「3DMark v2.15.7078」のTime Spyは約2.49倍の1,559、Night Raidは約2.16倍の14,182、SkyDiverは約2.12倍の12,862という高スコアを記録した。やはり内蔵グラフィックスに「Intel Iris Xe Graphics」を搭載するTiger Lakeは、3Dグラフィックス性能の向上が著しい。「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」もフルHD解像度で「とても快適」と判定されている。

 ストレージベンチマークについてはmouse B5-i7はSATA接続のSSDを搭載しているので、スコアに大差がついた。とは言ってもmouse B5-i7もカスタマイズ購入時にNVMe接続のSSDを選択できることを付け加えておきたい。

 なお、今回「Cinebench R23.060」のベンチマークを実施したさいに、CPU温度、クロック周波数、システム全体の消費電力を計測してみた(室温19℃前後で測定)。

 ベンチマーク実行直後はクロック周波数が3,684MHzまで上昇したものの、CPU温度が93~94℃付近に張り付いたままじょじょにクロック周波数が低下していき、47秒経過時点で3,105.8MHzから2,941MHzに、1分2秒経過時点で2,929MHzから2,770.1MHzにクロック周波数が大きく下がり、その後クロック周波数は2,720MHz前後、CPU温度は75℃前後で推移していった。システム全体の消費電力もほぼ同じ傾向の動きを見せている。

 今回のベンチマークは「MyAsus」のファンモードを「パフォーマンスモード」、Windowsの電源モードを「最も高いパフォーマンス」で実行したが、高負荷時でも一定時間を越えると80℃以下を保つようにチューニングされているようだ。

最新技術を採用し、重要スペックを押さえたスタンダードモバイルノート

 ZenBook 13はまるでお手本のようなスタンダードなモバイルノートだ。ZenBook Flip SやZenBook Sのような派手さはないが、まったく同じCPUを採用しつつ、NVMe接続のSSD、Thunderbolt 4、Wi-Fi 6など重要なスペックはしっかりと押さえている。

 それでいて税別店頭予想価格は11万3,455円~15万8,910円前後とお手頃だ。最新技術を採用したコストパフォーマンスの高いモバイルノートをゲットしたいと考えている方は、真っ先に購入を検討するべき1台だ。


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