歯科医でんた先生のつぶやき

でんた先生の歯科の様々な疑問へのつぶやき。

生活習慣病

2018-04-21 23:32:06 | 日記
 久々の投稿です。
 3月4月と年度替わりでバタバタとしておりました。ようやく落ち着いてきましたのでブログを再開させていただきます。

 前回までで虫歯は生活習慣病であると書かせていただいたのですが、生活習慣病で最たるものは高血圧と糖尿病です。この2大疾患が日本の薬剤医療費を底上げしています。中高年の患者さんのかなり多くの方がどちらかのお薬を服用している事が多いのです。自分もある年齢になったらこれらのお薬のお世話になるのかと戦々恐々としていました。

 一般的に高血圧は塩分摂取過多、糖尿病は糖質過多によるものとされています。気をつけてはいるものの知らず知らずのうちになってしまうものである認識でいましたが、母親の一件で認識が大きく変わりました。

 母親は高血圧の既往があり降圧剤を服用しておりました。あるとき血圧の状況からか主治医の先生から薬の変更を言われ降圧剤を変えたそうです。その1週間後、自宅で立ち上がろうとした際に立ちくらみがして意識がなくなったそうです。一人暮らしの母は幸い翌日に意識が戻り、姉につれられて病院を受診したそうです。体には別条が無く、主治医の先生は降圧剤が効きすぎて血圧が低下しすぎたのであろうとのことでした。母はそれ以来薬の対しての不信感から高血圧に関する本や雑誌を読み漁り、最終的に塩分摂取を1日6グラム以下にするという結論に達したそうです。代替調味料などを工夫したりして徹底的に塩分を減らして、尚且つ適度な運動や体に良いとされる食べ物(民間療法的ですが)を調べて食生活を改善したそうです。その結果血圧は下がり(それでも150前後はありますが本人曰く年相応の数値だそうです)降圧剤は服用しなくなりました。もちろん毎日の血圧はモニターしているそうで安定しているとの事です。

 医師の兄は「塩分制限すれば血圧が下がるのは当然」と普通に言っておりましたが、僕には納得がいかない言葉でした。医師としてわかっているなら何故患者さんにそれを指導していかないのか、安易に薬を出すことで早く解決したいのか、単に経営のためかと色々な疑問が噴出してきました。しかし毎日殺人的に多くの数の患者さんを診る先生にとって早い解決は必要悪なのかもしれません。生活習慣病は患者さん自信に問題があるので意識の改革を待っても時間がかかるだけなのかもしれません。

 そう考えると、自分の胸に手を当てて考えた時、歯科医師も「凍みると言っている患者さんに安易に抜髄を勧めていないか」「咬合痛の患者さんに安易な咬合調整や冠の除去をしていないか」など思うことが多々ありました。

 このブログを見られている歯科医の先生方はどう思われるでしょうか。意見が分かれるところだと思います。この事で僕の生活習慣病及び歯科疾患に関する思いは大きく変わっていきました。この年になっても母から気づきを貰った僕は母親には本当に感謝しています。今度はこのブログを見てもらっている皆さんに情報提供の形で恩返しがしたいと思っています。


















なぜ虫歯は減らないのか④

2018-03-10 23:45:38 | 日記
久方ぶりのブログです。

今月はじめに学会の認定試験があり、勉強に追われブログの更新に手をつけられなかったのです。試験も無事に終わり、すっかり忘れかけていた(笑)ブログを再開させていただきます。

前回までそれぞれの項目ごとに解説をしてきましたが、結論としては虫歯が減らない理由は「虫歯は細菌感染症ではあるが現代においては生活習慣病である」ということなのです。

これを読んで「何だ当たり前じゃないか」と思う方々は多いと思うのですがこれをベースに捕らえて歯科治療・指導・予防を考えていかないと虫歯は減らないのです。

虫歯の治療やインプラント・義歯などがすごく上手い先生は多くいますが、治療された方が再発する事は多いのです。一連の治療が終わってメンテナンスに移行していくわけですが、定期的な観察やクリーニングは当然必要ですが、その方の環境や生活習慣にも介入しないと虫歯は減らないと思います。(難しいことですが・・)

しかし、我々歯科医師としてその事を理解した上で治療に望めば色々と見えてくる部分も多くあります。このブログでは自分の数少ない臨床経験から雑多な項目で歯科疾患を生活習慣病として診ていく記事を書いていきたいと思っています。

歯科は一般的に外科系のものといわれています。僕は予防歯科系で外科は得意ではありません。ただ何らかの疾患を抱えお見えになった患者さんに向き合って、何が原因でこうなって治療後はどうすべきかという「治療の前後」を考えるのは少し得意です(笑)僕はいわゆる内科系歯科医を目指しています。

これからもつらつらとエビデンスと取り留めのないブログを更新していきますので、皆様温かい目で見てやってください。
              
                    

なぜ虫歯は減らないのか③

2018-02-03 22:38:49 | 日記
 今日は節分です。恵方巻きや年の数だけの豆を皆さんも召し上がったでしょうか。

 さて、今日は前回の続きです。

 三つ目の細菌についてですが、虫歯は細菌の感染症で細菌の産生する酸により溶かされていくことや、その毒素で歯周組織が破壊されていくことは皆さんご承知のとうりです。しかし、細菌はいわゆる常在菌であり誰の口の中にも存在するものです。決して特殊なウイルスや細菌ではありません。生まれたての赤ちゃんの口腔内には細菌が存在しません。それが母親からのスプーンなどによる感染や様々な場面で口腔内に色々な種類の細菌叢が入り込んできて口腔内情在菌になっていきます。従って母子感染を防ぐことにより口腔内の細菌数を増やさないことは理論上可能です。しかし完全にシャットアウトは出来ません。また大人になり様々な場面で口腔内の細菌の交差感染になることもあります。(ある大学の細菌学の教授が授業でラップ越しにOOをと冗談を言われたそうです)従って口腔内の細菌を0には出来ませんが新しく入ってきた細菌を定着させないような口腔内環境を作ることは可能ではないかと思います。これにはいわゆる免疫力が関わってきます。(これキーワードです)

 四つ目の時間ですが、これは歯が酸に触れている時間の経過を言います。昔コーラの中に歯をつけていると溶けてしまう実験がありましたがそのようなイメージです。これは食事の後30分程して口腔内の酸性度の上がる前に歯磨きをすると良いとか色々対策がありますが、僕が思うのは基本的にその人の口腔内の酸性度がどうあるかだと思います。ヒトは中性かやや酸性の状態であると言われていますが、口腔内は常に限りなく中性の状態を保つように体を安定させることにあると思います。食生活や体調や唾液の問題がその解決の糸口となります。(これもキーワード)

 これらの4つの輪が絡み合って虫歯にはなるのですが、それぞれの輪は極端なことを言えば輪を限りなく小さくすることは出来ます。ただそれが出来るのは難しい部分が多いので虫歯になるのではないでしょうか。確かに昭和40年代にはかなりの虫歯罹患率であったのが現在はかなり減少してきています。それぞれの輪の対策がある程度なされているものだと思います。あともう一歩進んでいきたいというジレンマで考えてきてひとつの結論が出ました。
 次回結論です。(すでに言われていることですので大袈裟かも・・)


               

なぜ虫歯は減らないのか②

2018-01-25 21:54:08 | 日記
 とても寒い日です。この寒さは本当に久しぶりです。ずいぶん前の感覚が蘇ってくる感じで不思議とワクワクしてきます。やはり冬に雪は必要です。(患者さんはキャンセルされて来なくなりますが・・)
 
 前回の続きで虫歯になるには4つの条件があってそれらが重なることで虫歯ができることをお話しました。この4つの輪がひとつでも消えてしまえば、もしくはそれぞれが小さい輪になれば虫歯は無くなるということです。しかし上手くいかないのが現実です。一つ一つ検証してみましょう。

 まずは糖質ですがいわゆる砂糖などの糖質の摂取量が0になれば細菌の餌がなくなり虫歯は0に近づきます。しかし糖質は色々な食品に含まれていて0にはなりません。けれどお菓子やケーキ類などの嗜好品を制限すれば虫歯になる率はかなり下がるかと思います。昔の日本人や未開の住人の方などは虫歯の罹患率が少ないはずだったでしょう。現代の日本においてはこの嗜好品の摂取が問題なのではないかと思います。いわゆる「甘いもの」を一切食べなくても体には何も変調は無いはずです。あるとしたら甘いものを食べないというストレスが問題になるのです。これは肥満や糖尿病とも関連しています。(ここキーワードです)

 二つ目の歯質ですがこれは生まれつきのものではないかと思います。フッ化物などの応用で歯質はある程度強化できるかと思いますが、虫歯に対してはっきりした効果を出すには水道水のフッ素化しかないかと思います。水道水のフッ素化は斑状歯などの弊害もありますが、確実に歯質は強化されます。フッ素洗口も長いスパンでの応用には効果があるかと思いますが、成人後にも引き続き応用すればいいのかもしれません。ただフッ化物の使用も無く歯磨きがあまり上手くなくても虫歯も無く歯の質の良い子は時々見かけます。しかもその子らは歯石が永久歯によく付いています。唾液が関係しているのかもしれません。(ここもキーワード) 

これから明日のための雪かきがあるので、3つ目はまた次回のブログで・・


            
 

なぜ虫歯は減らないか①

2018-01-19 23:19:12 | 日記
先日の雪は本当にすごかったです。久々の大雪という感じでしたが、雪が大好きな僕としては少し嬉しい気持ちになりました。雪は道路や何もかも白くしてくれて綺麗に見えるからでしょうか。
同様に白い歯も見ていてとても気持ちのいいものです。しかし現実は様々な修復物で治療をされている方がほとんどです。保険外治療ですべて白い修復物を入れてなおかつホワイトニングで白く見せているものは、残念ながら自然な白さではありません。
これだけ医学が進歩してきた現在、虫歯はなぜ減らないのでしょうか。確かに戦後から高い罹患率であった子供の歯はずいぶんと減ってきました。しかし0にはならないのです。
僕が学生のころ虫歯の出来る要件として4つの輪を習いました。虫歯が出来るのは糖質・歯質・細菌・時間の4つの条件が重なって出来るというものです。当時の僕はその中のひとつでもなくせば虫歯にならないのかと考えていました。
臨床医になって虫歯のない方で全然歯磨きが出来ていない人を診て「これは歯質がいいから虫歯にならないんだ」と思いました。また江戸時代以前の方の虫歯の罹患率が低いというデータもあることからこれは砂糖のような糖質を取っていないからだとも考えました。それらの観点からも4つの輪の原因をひとつでも取り除けばいいのかもしれません。
患者さんの中には「いつもしっかりと磨いているんだけど・・」と言われる方が多いのですが、虫歯はしっかり出来ています。(確かに綺麗に磨けている方もいますが)
次回、この4つの輪を紐解きながらまたお話させていただきます。