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いじめの問題追及

2013年02月15日 | 教育情報
 思想家吉本隆明が「宮沢賢治の世界」の中で、社会において見識さえあれば解ける問題と、見識がいくらあっても社会全体が平等にでもならない限りは消えない問題があり、これはどうしても残ってしまう。これがいじめの問題だといっています。吉本もいじめる側になったことがあり、いじめていた相手に、下駄でしたたか殴られた体験をしています。その自己体験から「直接いじめるものといじめられるものとが会話してしまうほうがいい。」といっています。それでも解決が図られなければ、いじめられている方も、仕返し宣言をして反撃すれば良いとしています。いじめるという思いを持たなくても済むような社会全体の変化が起きれば、自ずからいじめという行為つまりいじめようという想念は、個人には起きないということになります。いくら見識の高い人間でも、日常の些事な世界では、つまらないことでいじめに近いことへと想念が突き進んでしまうことはいくらでも可能性としてあります。
 狭い想念に取り付かれてしまう人間の観念の特性が、相手に対していじめへと到る心的過程を解き明かすことは大きな課題だ。吉本は、社会が進化し、いじめるものといじめられるものとの区別が不必要とならない限り存続する課題だとしている。つまりは、いじめがなくならないのは社会に原因があるということだ。
 そこで私たちは、さらに踏み込んでこのテーマを捉えてみる必要がある。①そのいじめの原因となる差異がなぜ攻撃の的となるのか。②なぜ集団で排除しようとするのか。③なぜ相手の立場に立った自己抑止ができないのか。④なぜ、そのような一点にはまり込むような思考過程を辿ってしまうのか。それは他のすべての事へと普遍化できる、人間の心の奥に潜む特異性で、それが解決できない限りは、社会のせいにばかりはできないのではないか。これらを、検証して現時点での糸口を見つけられればと思う。

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