次世代へのメッセージ①

　すでに世界の在り方は大きく様変わりし、競争と切り捨ての時代から、相互扶助と協働の新しい時代へとシフトしています。ところが、そのことに気づけない国々や政治家、学者が多すぎます。
　少し考えてみると分かります。自然環境の破壊が気象現象に異変を生じさせていることは、皆さんも聞いたことがあると思います。企業は利益を追求するために自然環境に与える影響など考えずに活動してきました。その企業活動が自然に与えるダメージなど考えなくても済んでいたからです。しかし、産業の発達は世界のすみずみにまで拡大し、次第に産業は高次化し、都市化も進展する中で、自然環境に悪影響を及ぼすほどに人類が築き上げてきた体勢は成長し拡大してきました。つまり人口も増え、私たちが生きていくための活動は地球という容器の中で、飽和状態になってきたのです。その結果、地球で暮らしている私たちの土壌ともいえる環境そのものの生態系全体に、悪影響を及ぼすような状態を徐々に生み出す結果になってきました。
　国によって産業の発展段階の違い、経済財政事情や生活といった社会環境の違いなど、さまざまです。 いま、日本の経済や社会活動全体も、その発展段階として各先進国同様に大きな曲がり角に来ています。つまり相手を蹴落として自分だけが勝てば良いという時代から、相手と協力して利益も分かち合い、享受し、お互いの持つ知恵を出し合って、力を合わせて難題に立ち向かうべき時代へと入っています。
　過渡期ですから、これに気づけない国々があるのは仕方のないことです。また、このことを理解できずに、未だに古い時代のままの考えで対処しようという旧世代の保守層がいるのも当然です。人は簡単に新しいことを受け入れたり、考えを一気に180度変えることは簡単にはできにくいからです。ですから、社会の変化は世代が変わるための時間を必要とします。しかし、これからの新しい時代を担う若い世代の皆さん達は、この新たな動向を知っておき、地域を、社会を、日本を、そして世界全体を良い方へと変えていく努力の一翼を担っていって欲しいと思います。