いやー、期待に反して面白かったです。
主役のテレビ時代劇の「剣客商売」で出ていた秋山大治郎役で出ていた、
山口馬木也さんの演技が、秀逸でした。
その他の俳優さん方も、皆さん生き生きと楽しそうに演じていて、
本当に面白かったです。
京都の太秦の撮影所を舞台に映画を作っているから、
全てが、ザ京都であって、多分、かなりアドリブのセリフも入っているせいで
色んな所で、ボケツッコミが有り、
それも、主人公の侍の糞真面目差との対比で、
関西人ならではの、作りになっています。
しかし、皆さん、ベテランだらけのおかげで、本当に演技が上手い。
時代劇の撮影の裏側を見せているから、いかに、大変かを見て欲しいという
気持ちが、凄く伝わってきます。
主人公の侍役をやっている、山口馬木也さんは、
会津藩士という事で、会津訛りをずっと話しながら、
侍の使命が忘れられないのに、現代では、斬られ役をして生きている。
矛盾であり、不条理であり、情けなさの心の葛藤を、
本当に上手い演技で演じている。
なかなか、長い映画でしたが、退屈な場面もなく、
最後の一対一の決闘シーンの迫力は、現代までの、
鍛えられてきた殺陣師の演技の集大成のようで、
本当に本身(真剣)を使っているという、迫力がヒシヒシと伝わってくる
怖さが、圧倒的に有りました。
あのシーンだけでも、わざわざこの映画を見に行く価値が、充分に有ります。
最近は、ハリウッド映画でも、侍映画もよく撮りますが、
侍の決闘シーンは、どうしても、欧米人目線になって、虚飾が有り、
派手めになっている。
この映画では、、斬り合って、対峙している状態の、
人間の心の葛藤が出ていて、
目線など、実際に本身だと、鉄の棒を振り回しているので、
長い時間やっていると、疲れてきて、切っ先を上げているだけでも、
しんどくなる。
そういう所も、しっかり現れていて、凄い迫力です。
現実の果たし合いなんて、そんなスムーズで綺麗なもんではなく、
とっても、泥臭い戦いでしょう。
普通に撮影で使う木でできた竹光は、
多分、竹刀(しない)よりも軽いでしょうから、
本物のように鉄の重さを出して振る演技も、それはそれで大変だと思います。
やっぱり、時代劇は、昔の人間だからこその、シンプルさが有るので、
人間本来の、心情が如実に表れて、演技の上手さがしっかりばれるから、
ベテラン俳優さん達の見どころが有り、作り手の技術も出てしまう。
久しぶりに私としては、日本映画で、ゴジラ以上に、
ええもんを見させてもらったと思います。