家に来た駿は、もうオトナのふりはしてない、23の年相応の男の人。
でも、私から見たら笑顔が無邪気でなんでもストレートな、若い男の子、だった。
男の子、なんて本人には言わなかったけれど。
用意したワインに合う簡単な料理を、彼は喜んで食べてくれ、褒めてくれた。
「まゆみさん、これ美味しい!自分で考えたの?」
「適当なんだから、そんな褒めないでよ」
「適当でこんなの作れちゃうんだ。お店で出せそうなのに」
「それ、本気?それともリップサービス?」
「ひどいな、本気で褒めてるのに」
本気で褒めてる…ほんとかな。
でも、真面目な顔でそんなことを言われたら、やっぱり嬉しくて頬が緩む。
1つしかないソファに、横並びに座っていると、駿が顔を覗きこむようにして、話してくる。
そうやって私を見る度に、だんだん動悸が早くなった。
ワインを飲んでるからよ、って自分に言い聞かせて胸に手を当てた。
「それ、まゆみさんのくせ?時々するよね」
「え?なんのこと?」
「そうやって胸に手を当てて、ふうって息を吐くこと」
「たまたまじゃないの」
緊張した時のクセなんて、知られるのはイヤだから、誤魔化して俯いたまま髪を耳にかけた。
「たまたま、か」
一言で流してくれてちょっとホッとして、
「ワイン、もっと飲む?」
ボトルを手に持つと、
「ちょっと、酔ってきた」
そう言ってグラスを置いた。
さすがに飲み過ぎたのかと思ったら、今度はいたずらっ子の顔で足の先をツンツンしてきた。
裸足の駿の熱が、私に移る。
「もう~子供じゃないんだから…何するの」
嗜めたくせに、私もやり返す。
酔ってるのにそんなことしたから、バランスを崩してしまった。
グラッと揺れた身体を、両腕で掴まれる。
「…大丈夫?まゆみさんも酔っちゃった?」
掠れた声で言われ、背中に腕がまわる。
あ、と思った時には駿の胸の中におさまっていた。
駿の鼓動と、私の鼓動。
混ざりあって聞こえて、それでまたドキドキが増していく。
誰かにこんな風に触れられるって暖かくて、気持ちいいんだな…
今さら、そんなことを思った。
こんな温もりを感じるのは、久しぶりだったから。
駿の手が頬に伸びて、包まれる。
そのまま顔を上げられると、唇が触れた。
頭の上から、駿の声が聞こえる。
「…もっと、まゆみさんのことを知りたいって言ったら怒る?」
「怒らないけど…」
怒るなら、こんなことしてない。
でも…
「いいの?私、あなたより7歳も年上で…」
「そんなことは、関係ないよ。まゆみさんがいくつだって、俺がいくつだって…知りたいだけ…もっと」
…知りたいだけ…そうか、それでいいんだ。
私も、もっと駿を知りたい。
このまま、自分の思うまま受け入れればいいじゃない。
まだ、怯えて後退りする歳でもない。
顔を上げて、両手で駿の頬を挟んで鼻をつん、とくっつけた。
「私も、駿のこともっと知りたい」
「嬉しい」
駿がくしゃっとした笑顔になると、私の背中がソファにくっついた。
でも、私から見たら笑顔が無邪気でなんでもストレートな、若い男の子、だった。
男の子、なんて本人には言わなかったけれど。
用意したワインに合う簡単な料理を、彼は喜んで食べてくれ、褒めてくれた。
「まゆみさん、これ美味しい!自分で考えたの?」
「適当なんだから、そんな褒めないでよ」
「適当でこんなの作れちゃうんだ。お店で出せそうなのに」
「それ、本気?それともリップサービス?」
「ひどいな、本気で褒めてるのに」
本気で褒めてる…ほんとかな。
でも、真面目な顔でそんなことを言われたら、やっぱり嬉しくて頬が緩む。
1つしかないソファに、横並びに座っていると、駿が顔を覗きこむようにして、話してくる。
そうやって私を見る度に、だんだん動悸が早くなった。
ワインを飲んでるからよ、って自分に言い聞かせて胸に手を当てた。
「それ、まゆみさんのくせ?時々するよね」
「え?なんのこと?」
「そうやって胸に手を当てて、ふうって息を吐くこと」
「たまたまじゃないの」
緊張した時のクセなんて、知られるのはイヤだから、誤魔化して俯いたまま髪を耳にかけた。
「たまたま、か」
一言で流してくれてちょっとホッとして、
「ワイン、もっと飲む?」
ボトルを手に持つと、
「ちょっと、酔ってきた」
そう言ってグラスを置いた。
さすがに飲み過ぎたのかと思ったら、今度はいたずらっ子の顔で足の先をツンツンしてきた。
裸足の駿の熱が、私に移る。
「もう~子供じゃないんだから…何するの」
嗜めたくせに、私もやり返す。
酔ってるのにそんなことしたから、バランスを崩してしまった。
グラッと揺れた身体を、両腕で掴まれる。
「…大丈夫?まゆみさんも酔っちゃった?」
掠れた声で言われ、背中に腕がまわる。
あ、と思った時には駿の胸の中におさまっていた。
駿の鼓動と、私の鼓動。
混ざりあって聞こえて、それでまたドキドキが増していく。
誰かにこんな風に触れられるって暖かくて、気持ちいいんだな…
今さら、そんなことを思った。
こんな温もりを感じるのは、久しぶりだったから。
駿の手が頬に伸びて、包まれる。
そのまま顔を上げられると、唇が触れた。
頭の上から、駿の声が聞こえる。
「…もっと、まゆみさんのことを知りたいって言ったら怒る?」
「怒らないけど…」
怒るなら、こんなことしてない。
でも…
「いいの?私、あなたより7歳も年上で…」
「そんなことは、関係ないよ。まゆみさんがいくつだって、俺がいくつだって…知りたいだけ…もっと」
…知りたいだけ…そうか、それでいいんだ。
私も、もっと駿を知りたい。
このまま、自分の思うまま受け入れればいいじゃない。
まだ、怯えて後退りする歳でもない。
顔を上げて、両手で駿の頬を挟んで鼻をつん、とくっつけた。
「私も、駿のこともっと知りたい」
「嬉しい」
駿がくしゃっとした笑顔になると、私の背中がソファにくっついた。