議長夫人は大統領夫人や首相夫人のように夫と共に外交を行う役割を担ってはいない。
だから、クロアチア議長夫人が撮影の入った公の会見で同席するのは異例であった。
天皇陛下と同じタイミングで着席するというのは難しい立場である。
雅子様がおしゃべりを長引かせ天皇陛下が着席を促してから着席したので、
レディーファーストの精神
天皇陛下に対する礼儀
議長夫人の立場
すべてに折り合いがついた。
国際儀礼で定められた天皇陛下との面会は、
国賓、公賓、公式実務訪問賓客。
天皇陛下と同じ国家元首(国のトップ)
国家元首の名代と認められるナンバー2
である。
そして議会議長は対象外。
クロアチア議長は衆議院議長の招聘で来日したクロアチア議員団の団長だった。
両陛下とクロアチア議長夫妻の面会が撮影された背景には、国民の代表である議会議長夫妻が親善を担うと良いお国事情があったからだろう。
日本は皇室が国際親善を担っているが、共和制で君主の居ない国は政治家が政治と親善と両方やる事になる。
そして、通常は、
大統領といった国のトップを招待する国賓
首相といった国のナンバー2を招待する公賓
という親善を目的とした招待をするのだが。
招待を受けたら返礼として相手国の元首かナンバー2を招く事になる。
天皇陛下の海外訪問は身の回りのお世話をする宮内庁職員の他に政府関係者など約100人規模の団体。
滞在費用や警備費用は基本招待側の負担で旅費は昔全額負担から折半に変更されたものの、招待側の負担は大きい。
そこで経済力の無い国のトップは招待されないようにしている。
また政治家の場合は親善に多くの時間や労力を使えない事情もある。
公式実務訪問はそういう政治家のトップとナンバー2向けの招待で、歓迎行事は簡素、天皇陛下との面会と皇室との食事会くらいだが。
政情が不安定な国の場合、夫人同伴での親善の為の会食であっても国民の理解は得にくいかもしれない。
議会議長は本来外交を担当しないが、それゆえに政治と距離を置いた国際親善に相応しい立場だ。
何より国民の代表としての地位がある。