儀式はその重要性を保ち示す為に、作法や形式が決められており、格の高い服装で出席しなければいけない。
格の高い服装の要件は、古今東西おなじ。
大まかに言うと、
・高い
・長い
・手の込んだ装飾
生地の良し悪しや織りも大事だが、
襟の高さと長さ、袖と裾の長さ、ボタンの有無が服の格付けに大きく関係している。
材料が少なく簡単に作れる簡素な形は正装にならない。
草履は全体を覆わず、紐を足の指に掛ける簡単な形でサンダルと同じだ。
草履にも高価な着物に合わせる高級な草履もあるが、形自体がその使用目的から手軽な物となっている為、正装の要件を満たしていないのである。
日本の屋内は昔から履き物を脱いで上がる形になっており、儀式は全て履き物を脱いで行われていた。
「儀式に必要無い履き物」に求められたのは、着脱のしやすさ。
だから、欧米の土足文化、履き物を履いた服装で儀式を行うようになると「履き物が儀式に相応しくない問題」が生じた。
皇室が祭祀で着る束帯や十二単といった古式装束に草履は無い。
明治時代に政府が国際社会でも通用する服装の格付けを行い、天皇や皇族の服装はその地位や立場に相応しいものとなるよう定めたからだ。
ブータンの民族衣装も履き物は全体を覆う形になっている。
着物・和服は日本人が大切にすべき伝統文化だが、
・土足文化とは異なる日本独自の文化の中で生まれたものだという事
・土足文化の中では不都合が生じてしまう事
を忘れてはいけないだろう。

履き物無しの天皇陛下








