《 ひとりの少女が見た、ツネさんの人生 》
ノリくんのおばあさんは、
なぜあんなにも、ツネさんに辛く当たるのだろう?
少女の心から離れない疑問だった
ノリくんの家は、手広くご商売をされていた。
戦前からの大店(おおだな)だった。
おばあさんはそのお店を、
男顔負けで取り仕切る、気風のよい肝っ玉母さんだった
歯に衣着せぬ物言い
そこにはキツイ性格が見え隠れしたものの
豪快で明るく、頼もしい人柄は、
戦後の混乱と物のない暮らしの中で、
生活に少しの潤いをを求める人たちにとっての
小さな救いだったに違いない
従業員や周囲の人たちからの信望も厚かった
ご主人が急逝してからは、
大学を卒業したばかりの一人息子を
一人前の後継者に導いた人でもあった
あの夜、
少女は屋根裏で、ツネさんから聞いたことを
母の耳元で、恐る恐る話した
母は一瞬、動きを止めたが
少女をなだめるかのように、静かに言った
子供が病気で亡くなったことがショックで、そう思い込んでるだけだから・・・
少女は母の言葉にほっとした
と共に、そう信じたかった
やがてノリくんと少女は、
中学・高校へと、お互いに別々の学校へ進み
自然な形で疎遠になって行った
そして、二人の成人式を見ることなく、おばあさんは激動の人生を閉じた
それから、何年もの月日は流れた
家庭を持った少女が実家に里帰りしたとき
ツネさんが亡くなっていたことを知る
あの夜の話を、思い出したかのように
少女の母は言った
ツネさんは、誰かの庇護の下でしか、生きられない人だった
大人になった少女には、全てが理解できた
ツネさんは、おばあさんの夫に愛された人だった
ツネさんの存在を、本妻は早くから気付いていた
ツネさんと夫の間に、子供が生まれたことも、本妻は黙認せざるを得なかった
昼間は商売に精を出し
夜は、自分の子供達のために時間を削り
夫に尽くしてきた本妻
夫を助け、大店を切り盛りしてきた本妻
明け方、人目を避けるように、別宅から帰宅する夫に
どれだけ、煮え湯を飲まされた思いだったことだろう
そんなとき、ふたりの女性を残して、夫が急逝した
ツネさんには、頼れる身寄りがいなかった
乳飲み子を抱え、生活力のないツネさんは
どういう経緯でか、本妻の住む本宅に引き取られ、
家政婦同様に使われる身となる
最低限の生活は保障されたが、
そんなツネさんには、
自由になるお金と時間を持つことは、許されいことだった
それでも天涯孤独のツネさんは、
そこで生きていく以外にすべはなかった
夫の亡き後、その愛人の生活の面倒をみる。。。
本妻にとっても、
どれだけの葛藤を苦しみぬいていたことか・・・
少女の母は、多くを語らなかった
いくら親しい間柄でも、所詮、他人の家庭内の事情。。。
真実は母にもわからない。
ただ、ツネさんの晩年を少女は知ることができた。
おばあさんが他界し、ツネさんも70を過ぎたけれど
家の中の家事をよく手伝っていた
そんなツネさんに優しく接していたのは、
本妻の息子夫婦、ノリくんの両親だった
父親の愛人ではあったけれど
悲しい人生を歩んだ、弱い女性の姿を、誰よりも身近で見ていた夫妻
やがてツネさんは病いに伏した
手厚く看病し、最期を看取ったのも、ノリくんの両親だった
お葬式をして、丁寧に葬られたと聞いたとき
少女の目に浮かんだのは、ツネさんの笑顔だった
少女は今でも時々思い出す
働くツネさんの姿と、
少女をかわいがってくれたノリくんのおばあさんを
本当の殺人とかじゃなくって良かったとほっとしました
ノリくんのおばあさん凄い人だ~
ワタシには無理
なかなか複雑なお話
本当のノリくんのお母さんはもしかして・・・
エリーさんのまわりは凄い人達でいっぱい
改めて感じたミドリでありました
女性の立場は弱くって、
高等教育を受けていない女性にとっては、
なかなか自立しにくい社会情勢だったから
涙を呑んだ人が沢山いたと思うの
おじいちゃん、女二人を残して
そこで死ぬか?って感じよね(爆)
殺人事件じゃなくてよかったけど
8歳くらいじゃ真に受けるわ(爆)
ノリくんのママはね、
パパが学生時代に知り合った人で、
関東からお嫁に来た人なの
少女の見た大人の世界は強烈すぎて
思い出すのよ・・・
まだまだ、あるんだな、これが!!!
あぁ、そーゆー意味ね!
いえいえ、ツネさんじゃないの
別の話で、小学校の同級生は
同居するお手伝いさんの子供って、子はいたけど・・・
しかも、周囲が知ってて、知らないのは本人だけだったわ