微笑を浮かべる彼女を瞳に映しながら、頭の中がまっしろになる。どのくらいそうしていたかわからないが、息苦しさに耐えられなくなったころ、ごくりと唾を飲んでどうにか平静を取りつくろった。
「大地には知られたくないんじゃなかったのか?」
「うん……でも、もうお兄ちゃんに嘘をつきたくないし……」
美咲はオレンジジュースの缶を見つめながら淡々とそう言うと玫瑰精油、小さく微笑んで顔を上げる。
「それに、私ならきっとお兄ちゃんの役に立てるから」
「役に、立つ……それって……?」
悠人はいまだ働かない頭でぼんやりと彼女の言葉を反芻する。大地の役に立つ? 勉強が? ——考えれば考えるほど頭が混乱していく。答えを求めるように漆黒の瞳をじっと見つめた匯款到大陸 。しかし。
「秘密」
美咲は両手でオレンジジュースの缶を持ったまま、肩をすくめて笑った。
「悠人さんとは今日が最後ね」
「そうか……」
勉強をやめるというのなら説得のしようもあるが、悠人でなく大地に頼ることにしただけだ。反対する理由はどこにもない。彼女がそう決めたのであれば、悠人の気持ちがどうであれ受け入れるしかないだろう。
もう美咲と二人きりで、こんなふうに過ごすことはできない——。
グッと奥歯を噛みしめてうつむく。彼女はこの時間を大切には思ってくれていなかったのだろうか。本を借りるためだけに悠人と図書館に来ていたのだろうか。ちらりと隣に横目を流すと、彼女は視線を感じたのかこちらに振り向いてニコリと笑い、肩ほどの黒髪をさらりと流しながら無邪気に覗き込んできた。
「ねぇ、悠人さん。私のこと好きだった?」
「……すこしね」
彼女がどういう意味で尋ねているのかわからず、悠人はわずかに視線を逸らせて薄く微笑み、曖昧に答えた婚姻介紹。それを聞いて彼女もほんのりと微笑を浮か