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田中重好・正村俊之・舩橋晴俊編著,2013,『東日本大震災と社会学──大災害を生み出した社会』ミネルヴァ書房('16.7.3)
地域社会の防災・減災機能、科学技術の社会的制御、新しい社会運動、リスク社会論等と、論考のテーマは多岐にわたるが、社会学の議論としてはある程度の成果を達成できているとしても、これが国家や自治体の防災・減災政策にどれだけ役立てられることがあるのか、少々心許ない気がした。
ただ、これだけの人災を前にして、社会学者として黙っておくわけにはいかないという心意気は、各論考からひしひしと感じた。
目次
大震災が突きつけた問い
第1部 被災の現場からの社会学
広域システム災害と主体性への問い―中心‐周辺関係をふまえて
地域コミュニティの虚と実―避難行動および避難所からみえてきたもの
東日本大震災における市民の力と復興―阪神・淡路大震災/新潟県中越地震後との比較
千年災禍の所有とコントロール―原発と津波をめぐる漁山村の論理から
第2部 原発事故と原子力政策
福島原発震災の制度的・政策的欠陥―多重防護の破綻という視点
何が「デモのある社会」をつくるのか―ポスト3.11のアクティヴィズムとメディア
フクシマは世界を救えるか―脱原子力社会に向かう世界史的転換へ
第3部 大震災への社会学からの接近
リスク社会論の視点からみた東日本大震災―日本社会の3つの位相
不透明な未来への不確実な対応の持続と増幅―「東日本大震災」後の福島の事例
「想定外」の社会学