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本と音楽とねこと

世界を戦争に導くグローバリズム

中野剛志,2014,『世界を戦争に導くグローバリズム』集英社('17.9.4)

 折りしも、北朝鮮が大規模核実験を行ったばかりだが、アメリカは、たび重なる北朝鮮の軍事的挑戦に、いまのところ、先制武力攻撃を行う兆候はない。これが、本書でも指摘されている「アメリカの凋落」を意味するのか、現時点ではわかりかねるが、世界が、アメリカ、中国、ロシアを中心とした、多極的なヘゲモニーに転換したのは事実だろう。あるいは、アメリカは、北朝鮮を軍事力で制圧し、再び覇権を取り戻す賭けにでるのだろうか。
 いずれにせよ、今回の軍事的緊張が、もはや「リベラル・リヴァイアサン」としての覇権を失いつつあるアメリカの弱みにつけ込まれたそれであることが、本書を読むとよくわかる。

目次
はじめに 日本が戦争に巻き込まれる日
第1章 「危機の二十年」再び―グローバリズムと戦争
第2章 アメリカ、二つの戦略構想―「リベラル・リヴァイアサン」か、「オフショア・バランシング」か
第3章 日米中の攻防
第4章 中東の動乱
第5章 ロシアの怒り
終章 覇権戦争
おわりに パワー・ポリティクスの復活

衰退著しい覇権国アメリカが「世界の警察官」の役割を放棄し、東アジアでもバランス・オブ・パワーの大変動が起きている。アメリカの凋落は、皮肉なことに自ら主導したグローバリズムの帰結だ。グローバリズムは中国の経済成長を促し、軍事大国化を可能にし、その一方でアメリカ経済の土台を崩して、あの金融危機まで引き起こした。その結果が、アメリカ覇権の終焉だ。衝撃なのは、実はグローバリズムが第二次世界大戦前の国際秩序崩壊の原因でもあったという歴史的な事実だ。こうした厳しい現実から目をそむける日本に未来はあるのか。『TPP亡国論』で日米関係のゆがみを鋭い洞察力でえぐり出した著者が、国際政治の深層を分析。グローバル覇権不在の時代に起こる、地域覇権を巡る戦い、覇権戦争の危機を予見する衝撃作!

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