井上荒野,2012,さようなら、猫,光文社.(11.1.24)
乾いている人、求めている人、愛している人、憎んでいる人、何も考えたくない人。彼らの日々にそっと加えられる一匹の猫。猫も、愛も、幸せも、閉じ込められない。短編の名手が紡ぐ魅惑の九編を収録。
ネコ好きにはたまらない傑作短編小説集。
たしかにどの作品にもネコが登場するのだが、主役は、自分の感情を理性的にコントロールできないでいる人間たちである。
井上さんは、人間の不可解で理不尽な感情を描くのが、ほんとうにうまい。
もちろん、ネコも、それぞれ、とても良い役回りを演じている。