発達障害の少年による無差別殺傷事件と、その詳細な公判記録が紹介されている。
少年法改正以降、触法少年の家裁から検察への逆送が当たり前になってしまったが、凶悪事件の加害者である少年を少年院でなく少年刑務所で服役させることは、被害者や遺族の報復感情を慰撫し、世論に迎合するだけの益なき措置であることが明るみにされている。矯正教育よりも処罰を優先する安易な大衆迎合司法は、出所後の再犯被害を生むことになるのだろう。愚かしいことだ。
目次
はじめに 診断名をつけて一件落着、ではない
第1章 その日、小学校で起こったこと―事件
第2章 「ずっと辛かった、不安がぬぐいきれなかった」―加害少年の一七年
第3章 家裁はなぜ検察に送致したのか―審判から刑事法廷へ
第4章 心からの謝罪とは―供述
第5章 司法と精神医学が抱えた難問―責任能力と処遇
第6章 刑罰も治療も―判決
おわりに まずは社会的な受け皿の整備こそ―「刑罰か保護処分か」という問いを超えて
2005年2月、大阪の小学校で教師殺傷事件が起きた。犯人は対人関係に「障害」があるとされる17歳の少年。「凶悪不可解な少年事件」に少年審判や刑事司法はいかに向き合ったか。犯行動機や責任能力をめぐり精神医学が直面した難問とは何か。真の贖罪・更生には何が必要か。綿密な取材から描く迫真のノンフィクション。
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