一つには、事業所開設のガイドラインを示す意図あっての解説書であるが、小規模多機能ホームの法令上の位置づけと、地域包括ケアにおけるその中核的な機能など、より良き地域福祉のあり方を模索する学生や研究者にも役立つ内容となっている。
小規模多機能ホームの経営も、「第3章 小規模多機能型居宅介護の事業計画と運営方法」の収支シミュレーションに示されているように、たいへん厳しい。「第二のコムスン」とも揶揄される「(株)日本介護福祉グループ(茶話本舗)」(http://www.jcgroup.co.jp/)は、加盟金として300万円、ロイヤリティとして総売上の5%を徴収しているが、このようなフランチャイズ式の「小規模多機能ホーム」では、ほかに行き所がない低賃金ワーカーしか集まらず、悪質なサービスや利用者虐待が横行している。
本書には、そのような悪質な事業所の事例は紹介されていない。「宿泊」サービスは介護保険適用外とはいえ、自治体が、デイサービスともども、第三者評価の義務づけも含め、適正な監査を行っていくことが必要だろう。
目次
はじめに
第I部 小規模多機能型居宅介護に取り組む
第1章 小規模多機能型居宅介護とは
第2章 小規模多機能型居宅介護におけるケアのあり方
第3章 小規模多機能型居宅介護の事業計画と運営方法
第4章 地域に根ざした小規模多機能型居宅介護
第5章 小規模多機能型居宅介護における自治体の役割
第6章 小規模多機能型居宅介護の建築計画における40のポイント
第II部 小規模多機能型居宅介護の建築事例集
第7章 新築の事例
第8章 改修、サテライトの事例
資料編
通いを中心に泊まりも訪問も一つの事業所でこなす小規模多機能型居宅介護サービス。地域包括ケアの切り札と言われるこの制度だが、まだよく知られていないことも多い。本書では、事業所開設に携わる人にはガイドラインとなり、利用したい人には平易な解説書となるよう、豊富な図面と写真を交え、ハード、ソフト両面から理解できるように解説する。
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