スコットランド、ウェールズにおける「民族」の伝統の創造、インド、アフリカの植民地における宗主国権威の儀礼による正当化等を論じる。
国民国家はイデオロギーにより構築された「創造の共同体」である。このことはいまでこそ常識ではあるが、国民国家の創出過程における「伝統の創造」について、初めて本格的に論じられた書物として、本作は重要である。
「天皇すごい日本すごい日本人のわたしすごい」という、しばしば捏造された歴史ともども語られる言説をみるにつけ、本書の論点はいまもなお重要だ。
「伝統」という言葉は当然のように、「遠い昔から受け継がれてきたもの」と思われている。だが、「伝統」とされているものの多くは、実はごく最近、それも人工的に創り出されたのだと本書は言う。本書は、おもに英国におけるそうした実例をとりあげ、近代になってから「伝統」が創り出された様子を追う。
目次
1 序論―伝統は創り出される
2 伝統の捏造―スコットランド高地の伝統
3 死から展望へ―ロマン主義時代におけるウェールズ的過去の探求
4 コンテクスト、パフォーマンス、儀礼の意味―英国君主制と「伝統の創出」、1820‐1977年
5 ヴィクトリア朝インドにおける権威の表象
6 植民地下のアフリカにおける創り出された伝統
7 伝統の大量生産―ヨーロッパ、1870‐1914
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