「ドーナツ経済」は、「持続可能な成長」だの「SDGs」だの、絵空事の思考停止のマジックワードとは異なる。
ラワースが指摘するとおり、図表がもたらすイメージは大切だ。需要供給曲線や無限に上昇するGDP直線に代わって、ラワースは、最低限の人間らしい暮らしと、環境負荷をはらむ浪費的生活との間に、持続可能な適正水準の経済を措定する。
ドーナツ経済に、GDPの成長は必要ない。
家事労働や育児、介護労働等に適切な所得保障を行う一方で、資産課税や累進所得税、環境税等を課し、グローバル企業の脱税を阻止し、金融取引にもきっちり課税すること、そして再生可能エネルギーへの転換、消費財の所有から共有への転換、農作物の地産地消、資源リサイクルの徹底等をはかることで、ドーナツ経済はきっと実現できる。
地球環境と資源の限界がわかりはじめて、やっと私たちはその中でしか生きられないことを知った。経済成長に依存せずに豊かで幸福な社会をいかに作りあげるか?本書は「ドーナツ型」の図で示される社会構造の変革によって、さまざまな現代世界の問題を一気に解決する野心的な構想を示す。現代経済の限界を打ち破るこの理論は世界の注目を浴び続ける。
目次
経済学者になりたいのは誰か?
第1章 目標を変える―GDPからドーナツへ
第2章 全体を見る―自己完結した市場から組み込み型経済へ
第3章 人間性を育む―合理的経済人から社会的適応人へ
第4章 システムに精通する―機械的均衡からダイナミックな複雑性へ
第5章 分配を設計する―「また成長率は上向く」から設計による分配へ
第6章 環境再生を創造する―「成長でまたきれいになる」から設計による環境再生へ
第7章 成長にこだわらない―成長依存から成長にこだわらない社会へ
今や誰もが経済学者
付録―ドーナツとそのデータ
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