ポピュリズムが、ラテンアメリカにおいてしばしば民主化の原動力となり、ヨーロッパにおいても既成政党のエリート主義を改変させる影響力を発揮してきたという論点は重要だ。スイス、オランダ、デンマーク、イギリス、フランス、ドイツ等において、ポピュリズムが政治システムを席巻してきた過程は実に興味深い。民主主義的に、反民主主義勢力たるエスニックマイノリティを排除することは正義なのか。読む者に、答えに窮する課題を突きつける好著である。
目次
第1章 ポピュリズムとは何か
第2章 解放の論理―南北メリカにおける誕生と発展
第3章 抑圧の論理―ヨーロッパ極右政党の変貌
第4章 リベラルゆえの「反イスラム」―環境・福祉先進国の葛藤
第5章 国民投票のパラドクス―スイスは「理想の国」か
第6章 イギリスのEU離脱―「置き去りにされた」人々の逆転劇
第7章 グローバル化するポピュリズム
イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生…世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。
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