1929年にはじまった世界大恐慌は、ブロック経済の形成と強化、植民地拡大をはかる日本、イタリアへの経済制裁を経て、第二次世界大戦に至った。2008年の金融危機においては、破綻しかけた投資銀行、証券会社、生命保険会社、自動車メーカー等へ公的資金を投入し、未曾有のグローバルレベルでの金融緩和を行うことでいったんは収束したかにみえるが、各国政府が金融引き締めに転じた際に、現在の「バブル経済」が崩壊し、再び金融危機に陥るリスクが残っている。
実体経済を凌駕する金融経済の暴走を促してきたのが、ほかならぬ新自由主義の経済政策であり、バブル経済とその破綻が繰り返されていくなかで、グローバル企業と富裕層のみが、とくに前者は公的資金により救済され、さらに富を蓄積し、中流階層以下の人々の生活はさらに窮乏化する。
筆者の、野放図な金融経済の跋扈を許してきた、アメリカFRBの金融政策、そしてそれを支持してきた主流派経済学への批判は手厳しい。「社会」の再生と「経済」をそれへ再び埋め込みなおすこと、すなわち、金融取引税、累進課税、法人税の強化による国家の所得再分配機能の強化が必要であることを再認識した。
目次
第1章 新自由主義とは何か
第2章 経済復活という幻想
第3章 カジノ資本主義と頻発する金融危機
第4章 グローバル・インバランス
第5章 金融危機から財政危機へ
終章 新自由主義を超えて
二〇〇八年のリーマン・ショック以後、世界経済はいまだ立ち直っていない。新自由主義に基づく制度と政策は、どのように金融危機を拡大させ、深刻化させたのか。また、今日の各国の財政危機とどう関係しているのか。新自由主義を支える理論を根本的に批判し、それらがもたらした帰結とその責任を、厳しく問う。
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