膨大な文献資料を駆使して編まれた、フランスにおける貧困層の処遇の歴史を詳細に再構成した大作。
貧困層の選別的保護から普遍的な最低所得保障に至るまでの史実が、丹念に掘り起こされ、壮大なフランス社会保障史として体系化されている。
いまや北欧諸国に次ぐ福祉大国となったフランス社会において、労働不能な者がスティグマを貼られ、慈善の対象と、排除のそれとして選別されていた史実は、日本社会における公的扶助の歴史と照合しても興味深い。
目次
前書き
比較のための覚え書き
第一部 後見から契約へ
第一章 近接性に基づく保護
第二章 土地に縛られた社会
第三章 名もなき賃金労働者
第四章 自由主義的近代
第二部 契約から身分規定へ
第五章 国家なき政治
第六章 社会的所有
第七章 賃金労働社会
第八章 新たな社会問題
結 論 負の個人主義
訳者解説
索引〔人名/事項〕
失業と労働条件の不安定化がもたらす今日の社会的危機の根源は何か。賃金労働の軌跡を14世紀から捉え返し、社会的なものの成立過程とその危機を明らかにするロベール・カステルの主著、待望の完訳。
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