やや言葉選びが雑で、少し読みにくいところが散見されるが、商品として安く買いたたかれていく労働力の現状と、問題解決のための処方箋が明確に述べられている。
正社員と非正社員の賃金格差やホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制適用免除制度)の問題に関して、経営者の中には「会社が生き残るためにはやむなし」という人が少なくない。だが、弁護士である著者は、そうした考え方に対して疑問を投げ掛ける。自由主義経済下における労働(者)とはいかにあるべきかについて、倫理や法律の側面から詳しく検討を加える。同時にILO(国際労働機関)の宣言に反して労働を「商品化」している日本社会の現状に警鐘を鳴らす。さらに、独自の調査により派遣に名を借りた女性労働者らに対する「ダンピング」の実態を明らかにする。
(日経ベンチャー/amazon.co.jp)
目次
第1章 いま何が起きているのか
(「雇用の融解」がはじまった
労働ダンピング
なぜ労働の商品化がすすむのか)
第2章 ダンピングの構造
(非正規雇用化
競争と格差
値崩れの連鎖
拡大していく貧富の格差)
第3章 労働は商品ではない
(労働のルール
規制緩和が非正規雇用を襲う
働き方が変わる
正規雇用の融解を促進させるもの)
第4章 隠された差別を可視化する
(格差問題へのアプローチ
性差別禁止からのアプローチ
非正規雇用の均等待遇保障
持続可能な雇用システム)
第5章 現実の壁に向かって
(ダンピング最前線に立つ公共セクター
安定した雇用を実現する
非正規雇用に正義を
正規雇用にディーセント・ワークを
契約形態を乗り越えて)
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