高度経済成長期、破竹の勢いで日本、そして世界経済を席巻した、日本の大企業群。日本人の物質的生活水準の上昇の裏側で、企業による想像に絶する労働者の弾圧が進行していたことを、本書は明らかにしている。
とくに、日産自動車とその子会社における、御用(労働)組合による凄まじい暴力、いじめ、ハラスメントには、心底震撼する、
労働運動をせん滅したあとには、QC運動等により企業への自発的な隷従が推進され、過酷な課業管理による身体と精神の破壊が進行することになる。
1980年代以降の新自由主義思想による非人間的な労務管理以前に、企業社会において、労働者の人間性の破壊が進行していたことは、本書を読めば明らかだ。
この名著は、現在においてもなおその鋭く透徹した批判精神において、読むに値する内容である。復刊を望みたい。
70年代日本は、鉄鋼・造船・自動車・金融の各部門で大企業が繁栄し、世界の首位を競う「日本の時代」となった。その企業の下に働く労働者の実態はいかなるものであったか。合理化による労働強化の増大、コンピューター導入による神経的緊張の増大、仲間との連帯から切りはなされた孤独労働の増大、「モノを創る」喜びからの遮断など…。1973年から74年にかけて7カ月にわたって労働現場を直接取材したこの記録は、今日の労働問題の原点をえぐった貴重なレポートである。
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