ジャン・ボードリヤールもエドガール・モランも、日本でよく知られた社会学者であるが、彼らが、いわゆる911テロをどう捉えたか、両者の作品に感化されたことがある者は誰しも関心をもつだろう。
結論から言えばとくにたいしたことを言っているわけではなく、グローバル化する社会システムのなかで増殖する癌細胞が、テロリストと被害者の生命と引き換えにグローバリズムの象徴としてのツインタワーを破壊した、その事実が思い起こされるだけである。
911テロとその後のイラク戦争に至るまでの、例えばノーム・チョムスキーの激しいアメリカ合衆国批判と比べると、ボードリヤールとモランの「(ヨーロッパとは異質の)アメリカ合衆国特異観」にもとづく傍観者的な視点が浮かび上がる。
当時としては、後に、ヨーロッパもテロの標的となるとは、思いもしなかったのかもしれない。
目次
世界の暴力(ジャン・ボードリヤール)
世界危機のさなかにあって(エドガール・モラン)
9.11の衝撃と加速するグローバリゼーションの中で、世界はますます流動的になり不安定さをましている。混迷の度を深めるテロ後の世界をどう捉え、どう行動すればよいのか。ボードリヤールは、暴力のもつ意味を独自の深い分析で抉り出し、モランは、極めて広い視野で現代世界の本質に迫っていく。現代フランスを代表する思想家による刺激的かつ根源的な問題提起。
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