医療現場での看護師等へのインタビュー調査から、医師、看護師、コ-メディカル(臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、栄養士等)間における、専門職としての自律性と連携の可能性を探る。
この手堅い実証研究が実りゆたかな成果となったのは、「戦略的限定化」、「(患者)ニーズの中間的了解」、「相補的自律性」といった、経験的事実の的確な概念化がなされているからであり、医療従事者間のミクロな相互作用を描き出すことに成功しているからである。
ロバート・マートンの「中範囲の理論」を地でいくようなよくできた経験的研究であり、すぐれた研究範例として、これから大学院で学位取得をめざす人たちにおすすめしたい。
本書は、今日の医療専門職が患者にケアを行うためには何が必要かを考えるものである。特に看護職が患者へのケアを試みる過程を明らかにし、さらにそれを支える医療専門職間の関係性を検討する。これらを通じて、ケアの持続という、医療のみならず、福祉や支援といった領域まで広がるより深いテーマについて、社会学的な視座から考察を加えるのが本書の目的である。
目次
序章 臨床現場と社会学の対話
第1章 他者の「生」を支えようとすること
第2章 キュアからケアへ
第3章 その人らしさを生かすために―看護職による患者への働きかけ
第4章 ケアを支える医療専門職間関係
終章 ケアの社会学へ向けて
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