精緻な文献レビューによって市民社会論の系譜を再構成した力作だ。
本書を読めば、「市民社会」という言葉にまつわる種々多様な幻想から解放されるだろう。
ただ、欲を言えば、市民社会論解体の彼方に展望される可能なる未来社会の理念について、もう少し具体的な思想史家なりの見解を示してほしかった。
目次
序章 「市民社会」とは何か
第1章 「国家共同体」としての「市民社会」―アリストテレスからロックまで
第2章 「市民社会」と「文明社会」―ルソー・ファーガスン・スミス
第3章 「市民社会」概念の転換―ガルヴェ訳『国富論』とヘーゲル
第4章 「市民社会」から「資本主義社会」へ―ヘーゲルとマルクス
第5章 「市民社会」という日本語の成立
第6章 市民社会派マルクス主義
第7章 “市民社会論”の終焉
第8章 現代の「市民社会」論
終章 「市民社会」とは何だったのか
市民社会(civil society)とは、国家とは別の「民間部門」なのか。それとも、「公共部門」とは別の、人々の連帯なのか。社会科学の基本中の基本概念を、西洋古代から現代の日本まで的確に説き起こした待望の概説書、必携の教科書。
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