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シンポジウムでの報告にもとづいた論文集。難解だが、「圧縮された近代」を漸次的に経験してきた日本および韓国・中国等における個人化、家族変容等の問題を再考してみるのに有益だった。次から次に呈示される多種多様な論点にめまいがする思いがした。
目次
この機会に―福島、あるいは世界リスク社会における日本の未来
1 再帰的近代化の中の個人と社会―社会理論の現在
個人化の多様性―ヨーロッパの視座と東アジアの視座
個人化論の位相―「第二の近代」というフレーム
二〇一〇年代の日本における個人化とベックの理論
2 リスクの時代の家族と社会保障―ベック理論との対話
リスク社会における家族と社会保障
個人化とグローバル化の時代における家族
個人化と家族主義―東アジアとヨーロッパ、そして日本
日本における個人化の現象―福祉国家をとおしてみる
3 日本と東アジアにおける多元的近代
第二の近代の多様性とコスモポリタン的構想
東アジアにおける第二の近代の社会変容とリスク予防ガバナンス―ウルリッヒ・ベックとの対話
社会学理論、第二の近代、「日本」―アジア的パースペクティヴとコスモポリタン化をめぐるベックとの対話
4 個人化する日本社会のゆくえ―コメントに対するコメント
様々な危機や不安に直面する日本社会にとって、人々の生活や人生上のリスクを安定化する装置がどのようなものであるべきかが問われている。本書は、リスク社会論の第一人者との対話から、そのためのヒントを探る試みである。「個人化」「第二の近代」「コスモポリタン化」といったベック理論の重要概念に批判的な検討を加えながら、社会理論の役割、リスクの時代の家族と社会保障、日本と東アジアにおける多元的近代をめぐって議論が展開される。2010年秋の連続シンポジウムの記録に、ベックが福島第一原発の事故を論じた貴重な論考も収録。
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