イスラエル軍、侵攻拡大か…レバノン国境に大規模部隊
【アビビム(イスラエル北部)=三井美奈】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの掃討作戦を進めるイスラエル軍は21日、レバノン国境地域に大規模部隊を集結させて、侵攻拡大の構えを見せている。
国境から約1キロのアビビムでは22日、作戦を前に兵士らの緊張が高まっていた。
ひっきりなしに続く砲弾音。戦闘機のごう音が響く中、小村アビビムに設営された国軍拠点では、兵士らが侵攻に備え、装備の手入れをしていた。村の北郊の道路には、戦車や装甲車が数十台並んでいる。
「昨日、ここに来た。いつ侵攻命令が出るかは分からない。正直のところ、少し怖い」と砲兵モシェ・マイモンさん(19)は話した。
村民はすでにほぼ全員が避難。目前には、ヒズボラの拠点であるレバノン南部の丘陵が広がる。モスクや白壁の住宅が点在する丘の中腹は、イスラエル軍の空爆や砲撃で黒こげになり、あちこちで白煙があがっている。国軍は22日朝、「過去24時間で150か所を空爆した」と発表した。
この村とその周辺で見た部隊は数百人規模。当地の報道によると、イスラエル軍は21日、3000~5000人の予備役を招集している。
地上軍による南レバノン攻撃は、22日も4日連続で続き、アビビムから国境を挟んで約3キロのレバノン南部マルンラスに小規模部隊が侵攻した。国連レバノン暫定軍(UNIFIL)によると、イスラエル軍は19日以降、レバノン側国境地域の2か所に拠点を構え、地中海岸でも国境を挟んで交戦があったと発表しており、国境地域での交戦は拡大の様相を示している。
国軍は依然としてレバノンでの地上作戦を「ヒズボラの武器庫などを破壊するための限定的作戦」とし、大規模侵攻の意図を否定する。国境への部隊・戦車は威嚇の色彩が濃厚で、イスラエルは戦況膠着の様相が続く中、ヒズボラに神経戦を挑んでいると言えそうだ。
(2006年7月22日21時39分 読売新聞)
米、イスラエルに精密誘導爆弾売却へ
【ニューヨーク支局】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、米政府の複数の当局者の話として、イスラエル政府が米ブッシュ政権に対し、精密誘導爆弾の売却を急ぐよう求め、米政権も引き渡しを急いでいると報じた。
記事によると、爆弾売却計画は、すでに米政府が昨年承認済みで、レーザー誘導爆弾や衛星誘導爆弾が含まれる。
米軍当局者によると、イスラエルによるこうした要請は異例。イスラエル軍は、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラ掃討を目的とした攻撃を続けているが、まだ多数の攻撃目標を抱えていることを示唆しているという。
また、記事は、イスラエル軍がヒズボラの最高指導者ナスララ師の司令所など、ヒズボラの地下拠点攻撃にこれらの爆弾を使用する可能性を指摘した。
(2006年7月22日18時7分 読売新聞)
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