本と音楽とねこと

リスク社会を考える

 次年度の「出前講義」(高校での出張授業)の案内文を書かないかんで、しばし考えた末、今回は「リスク社会」をお題にすることにした。ちなみに、前回のお題は「少子化」。毎回、しょぼいネタばかりだな。ww もう一つ突っ込むとだな!だいたいリスク対策すかすかのてめえがふるようなネタかYO!と言いたいね。(大藁

みなさんは、リスク社会という言葉を聞いたことがありますか?リスク社会とは、ドイツの社会学者、ウルリッヒ・ベックが、チェルノブイリ原発事故の起こった1986年に出版した本のタイトルとして用いたものです。
リスクとは、危険にさらされること(なんらかの不利益・損害をこうむる可能性)を意味します。現代社会は、地球環境問題、戦争・テロ、災害、犯罪、失業、貧困等により個人が人生のなかで不利益を受ける確率の高い、ハイリスク社会であるという見方もあります。
リスクなしの人生などありえません。人生は、リスクの連続であると言ってもいいでしょう。進学、就職・転職、恋愛・結婚等々、望ましい結果が得られない可能性があるとしても、失敗をおそれず、挑戦してみないことには、己の人生を切り開いていくことはできません。そして、わたしたちは、自助努力することによって、人生のイベントにおけるリスクをある程度軽減することができます。
しかし、地球環境問題、戦争・テロ、災害、犯罪、失業、貧困、といった出来事や問題は、個人の自助努力で、防止・抑止、解決できるものではありません。わたしたちは、これらのリスクを、個人の自助努力だけで軽減できる、あるいはそうすべきリスクと区別し、社会的にその可能性を軽減する手だてをこうじていかなければいけません。
具体的にいえば、環境負荷の小さい工業製品の開発と普及の促進、世界および地域社会レベルでの所得格差の縮小、特殊な世界観をもつ人々との共生、「防災福祉コミュニティ」と、社会保障によるセーフティーネット(予期せぬ不利益・損害をこうむった人々を救済しリスクを極小化する安全網)の整備等が必要です。
リスクにしっかりとむきあいながら人生を的確な判断と自助努力で切り開いていく、それが自己責任といわれるものなのでしょう。しかし、自己責任でまっとうできないリスクは、社会的に軽減していくしかありません。
この講義をとおして、みなさんがこれから遭遇していくであろうリスクについて考え、どうしたら幸せに生きていけるようになるのか、考えてみませんか?

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