多くの人たちに静かに共感され愛読されてきたあまりに有名な一冊。
人生も価値観もパーソナリティでさえも、つぎはぎだらけの経験の断片の寄せ集めでしかないのに、無理にアイデンティティという虚構を身にまとう不自由さから読む者を束の間だけ解放してくれる。
本書自体が、路傍の小石のようにまるで存在感がない、というよりなにかを明瞭に主張することもない。ただ子どものころから誰しもが感じてきたであろう、連続し一貫した自己の虚構に囚われることへの違和感が静かに語られるだけだ。思わず吹き出してしまいそうなエピソードに、どうしようもない自分自身の経験を重ね合わせながら。
路上のギター弾き、夜の仕事、元ヤクザ…人の語りを聞くということは、ある人生のなかに入っていくということ。社会学者が実際に出会った「解釈できない出来事」をめぐるエッセイ。
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