佐々涼子,2011,駆け込み寺の玄さん,KKロングセラーズ.(文庫版有)(10.14.24)
本当の自分の救い方、教えたる。この世の地獄から救われるために無数の試みを続けてきた男が、いま体を張って人を守り続ける。
本書は、9月1日に、悪性脳腫瘍のため亡くなった佐々涼子さん、ノンフィクションライター初期の頃の作品だ。
玄さんは、すさまじく劣悪な家庭環境と貧困を生き抜いた。
玄さんは、暴力行使も厭わぬ姿勢で金儲けに邁進し、それでも充たせぬこころを、新宿、歌舞伎町に「駆け込み寺」を開設し、追いつめられた人びとを救うことで充たそうとした。
玄さんから過去を語る言質を引き出す佐々さんの執念が凄い。
佐々さんは、希代のノンフィクションライターとして生き抜いた。
物書きとしての執念は、玄さんの生き方をも彷彿とさせる。
目次
転生
よく切れる刀
自由への逃避
俺がケツふいたる
飢えと渇きと
別にかわいそうなことあらへん
死ぬなら勝手に。悩みたいなら勝手に。でも
叫び方の上げ方
なあ。この子助けたって
たったひとりの帝国の誇り高き王 ほか