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本と音楽とねこと

【旧作】エヴリシング、ヴァージン・エクササイズ、サーフ・スプラッシュ【再読】

桜井亜美,1997,エヴリシング,幻冬舎.(8.20.24)

いつも見る、あの空を飛ぶ夢。そこで一緒に風をつかまえ、飛翔する「彼」は誰なんだろう。突然の自殺で、恋人トモヤを喪った女子高生サキは、トモヤの「ほんとうの心」を探して、街を彷徨う。そして出会った、トモヤの生き写しのようなユウキ。ユウキこそ夢で見る「彼」なのか?現在形の少女の切なさを描く。

 物語は、冒頭、主人公、サキが、恋人、トモヤの自殺した姿を目撃するところからはじまる。

 トモヤのヒトクローン、ユウキとの出会い、逃避行、そしてトモヤの失踪(死)へと物語は進行する。

 桜井作品の中では珍しくベタな筋書きではあるが、じゅうぶん、楽しめる内容だ。


桜井亜美,1998,ヴァージン・エクササイズ,幻冬舎.(8.20.24)

十八歳になる前に、ヴァージン・ブレイクしたいと背伸びする女子高生・ミユウ。五百人以上の女の子と寝て、その度に写真を撮りコレクションするのが趣味という二十九歳のトウグウジ。絶対に傷つくことがない“最初の相手”にミユウはトウグウジを選んだが、いつしか彼女の心は大きく揺れ始める。ふたつの孤独な魂が奏でる優しいメロディー。

 桜井さんの作品の中でも、もっとも好きなものの一つ。

 純愛ものではあるが、この手のジャンルで大人の鑑賞に堪えうる作品が少ないだけに、桜井さんの才能がより光り輝いてみえる。

 嫉妬心をもてあます主人公、ミユウのこころの動きが切ない。


桜井亜美,1999,サーフ・スプラッシュ,幻冬舎.(8.20.24)

「学校やめるって言葉、ずっと言いたかった」高校生活に退屈しているヒトミとチサトは、ある日、工事中のビルの上にあるクレーンから神秘的な夜明けを見た。その光景は、彼女たちを最高に自由にさせる。そして次の日、チサトからヒトミに宛てられた1通の手紙…。波しぶきのように輝く言葉の交換が始まった。はかなくて、美しすぎるストーリー。

 桜井さんの作品中の女の子は、みな、とてもピュアだ。

 男との関係に傷つきながらも、キズを重ねていくことがやめられない。

 ヒトミとチサトの往復書簡のかたちで進行する物語は、ヒトミが自殺をにおわせるところで終わるが、切なさマックスの演出は見事と言うほかない。


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