若桑みどり,2003,お姫様とジェンダー──アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門,筑摩書房.(1.6.25)
コレット・ダウリングの『シンデレラ・コンプレックス』が刊行され、話題をよんだのは一九八二年。すでに二十年以上になるが、その間、「白雪姫」「シンデレラ」「眠り姫」などのプリンセス・ストーリーは、ますます大量に生産され、消費されている。大量に消費されるからその影響力も絶大である。本書では、ディズニーのアニメを題材に、昔話にはどんな意味が隠されているかを読み解く。いつの間にか思い込まされている「男らしさ」「女らしさ」の呪縛から、男も女も自由になり、真の男女共同参画社会を目ざす。
若桑さんは、勤務先の女子大での授業、「ジェンダー文化論」にて、学生に、ディズニーのアニメ、「白雪姫」、「シンデレラ」、「眠り姫」を鑑賞させ、その感想を拾い上げていく。
美しく装い、おとなしく、控えめにしていれば、いつか、白馬に乗った王子さまがわたしをさらって幸せにしてくれるというプリンセス・ストーリーが、学生と若桑さんにより、見事に解体、脱構築されていく。
現在も絶版とならず読みつがれていることからも、本書の価値が現在でもなお色あせていないことがわかる。
とても良い本だ。
目次
第1章 女子大でどうジェンダー学を教えるか
第2章 プリンセス・ストーリーとジェンダー
第3章 「白雪姫」を読む
第4章 「シンデレラ」を読む
第5章 「眠り姫」を読む
第6章 「エバー・アフター」(それからずっと)