20年以上もむかしに、グローバリゼーションにともなう国民国家の管理能力の衰退をメインテーマにしていたのは、相応に評価されるべきだろう。
グローバル経済の新たなアクターとして、マフィア、保険会社、監査法人等を取り上げているのも、流石というべき。
ただ、スーザン・ストレンジの論述は、冗長にしてわかりにくい。諸著作が、岩波の文庫や古典シリーズとして翻訳されていることからも、国際政治経済学を切り開く重要文献であるのは認めるが、それが日本で参照されることが意外に少ない原因かもしれない。
目次
第1部 理論的基礎
衰退しつつある国家権威
パワーのパターン
政治の限界
政治と生産
国家の現状
第2部 経験的証拠
国家を超える権威
テレコム―コミュニケーションの管理
組織犯罪―マフィア
保険とビジネス―リスク・マネジャー
ビッグ・シックス―六大監査法人
カルテルと私的保護主義
国際機構―経済貴族
第3部 結論
ピノキオ問題とその他の結論
頻発する世界経済の混乱・危機に対する各国政府の対応とその効果に見られるように、グローバル経済において国民国家の権威は明らかに衰退している。この本は、その衰退の原因を分析するとともに、多国籍企業、ヘッジファンド、格付会社、国際監査法人、マフィア…などに代表される「新しい権威」の実態を明らかにする。
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