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本と音楽とねこと

コロナと女性の貧困 2020‐2022

樋田敦子,2022,コロナと女性の貧困 2020‐2022──サバイブする彼女たちの声を聞いた,大和書房.

新型コロナウイルスに翻弄される女性たち。現場を訪ね歩き、彼女たちの声を聞いた。不寛容な社会で、必死に生きる姿を感じとってもらいたい。渋谷のホームレス女性、生理の貧困、大学生にも生活保護、トー横キッズのリアル、高学歴風俗嬢ハル、夫がコロナに感染、在日ベトナム人の苦難、“親ガチャ”で失敗、炊き出しに並ぶ親子、ヤングケアラー少年の事件…渾身ルポ!

 リーマンショックの際は、製造業の現場と寮から放逐された男性派遣労働者の生存が火急の問題となったが、コロナ禍においては、飲食業、旅行・宿泊業等に従事する女性非正規労働者のそれが大きな問題となった。

 定額給付金以外に、持続化給付金や社協の生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金)を利用してなんとか生命をつないだ人たちも多かったが、本書で取り上げられている事例にあるとおり、ホームレスとなり、あるいは餓死してもおかしくない窮状に陥っていた人たちもいたのは周知のとおりである。

 「最低生活保障」が現代国家最大の責務であるとすれば、小手先の弥縫策を弄するのではなく、当初より、「職権による生活保護」で包括的に困窮者の生活を下支えするべきであった。

 雇用の非正規化と、物価高に見合わない最低時給の問題は、ポストコロナの現在においても解消されていない。

 「貧困の女性化」問題は、可及的速やかに解決すべき問題だ。

目次
序章 あの日から
第1章 2020年1~6月 街から人が消えた
第2章 2020年7~12月 働きたくても働けない
第3章 2021年1~6月 先が見えない
第4章 2021年7~12月 オリンピックの影で
第5章 2022年1~6月 失われた2年間
終章 つながれる社会に向けて


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