伏見憲明,2003,変態(クィア)入門,筑摩書房.(10.29.24)
ゲイやレズビアンは知っている。性同一性障害…もわかるような気がする。じゃあ、インターセックス(半陰陽)は?女装家とゲイの違いは?男から女に性転換したレズビアン、なんているの!?―ゲイライター伏見憲明が、性の境界線を揺らす、さまざまな変態(クィア)たちと対談。
シスジェンダー、トランスジェンダー、トランスセクシャル、トランスヴェスタイト、ヘテロセクシャル、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、インターセックス、アセクシャル、アロマンティック、モノアモリー、ポリアモリー等々、これまで、「性」の多様性を表す言葉が数多く生み出されてきた。
現実を定義づける言葉は、人間を一面では解放し、他方では抑圧する。
クィアの一つのあり方に言葉、名前が与えられることで、人は、自らを既存のカテゴリーに位置づけ、安心する。
しかし、新たな言葉が、その人固有のセックス、ジェンダー、セクシュアリティを正確、包括的に示すかというと、そこには必ずズレなりはみ出す部分なりが出てくる。
結局、自他を傷つけることがなければ、なんでもあり、なんでもオッケーということであり、無理に自らの「性」をなんらかのカテゴリーに回収する必要もないということだ。
本書では、クィアと目される人々が、万華鏡のようなその人固有の「性」を語る。
理解のためには言葉は必要だが、その人固有の実存を承認するのに、必ずしも言葉は必要ではない。
目次
志木令子―ネイティブ・レズビアン
嶋田啓子―トランスジェンダー?オーバージェンダー?
虎井まさ衛―FTMTS ♀→♂+バイセクシュアル
麻姑仙女―MTFTS ♂→♀+レズビアン
三橋順子―女装家 パートタイムTG
ハッシー―インターセックス(半陰陽)
花田実―障害者のゲイ
川本恵理子―レズビアンマザー
柿沼瑛子―おこげ?やおい?ゲイ文学翻訳家
松沢呉一―ヘテロセクシュアル・ペニス研究家