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少年非行および更生保護について書かれた本としては、これまででいちばん読みごたえがあった。覚せい剤中毒、売春、傷害、殺人、性暴力等々、事件の凄惨さに息をのむ。
虐待と自尊感情の欠落、発達障がい、知的障がい、そして非行との関連が、幾多の少年事件事例に即して、とてもよく理解できる。
「筑紫少女苑」、「福岡少年院」、そして「田川ふれ愛義塾」等々、身近な施設でのたんねんな取材記録がとても興味深かった。少年犯罪の遺族への取材もきちんとなされており、加害と被害、そして更生と、バランスよく目配りがなされて構成されていると思う。
少年非行だけでなく、子ども虐待がもたらす負の連鎖について関心がある人には、とくにおすすめしたい。
目次
第1章 少年院の矯正教育
第2章 少年の“心の闇”とは何か
第3章 性非行に走る少年たち
第4章 ドラッグという底なし沼
第5章 被害者遺族の慟哭
第6章 非行少年は生まれ変われるのか
統計でも裏付けられる、虐待と少年犯罪の因果関係。虐待を受けた少年はなぜ、自らが犯した罪と向き合おうとしないのか。なぜ自分の命さえ大切にできないのか。彼らの心の中でいったい何が起きているのか。はたして社会に彼らの生きる場所はあるのか。被虐待、性非行、ドラッグ依存、発達障害との関係…。少年犯罪の病理と矯正教育の最前線を追う。
田川ふれ愛義塾
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