石井光太による類書ほどの迫真性はないが、丹念に聴取された証言録はとても貴重だ。防災文化を構築していくうえで必要なだけではなく、記録それ自体に後世へ伝承していくだけの重みがある。
目次
はじめに
第1章 医師がみた「大震災の爪痕」
[証言01]
検死医が目の当たりにした津波遺体のメッセージ
杏林大学准教授・高木徹也氏のケース
[証言02]
歯科医が遺体安置所で感じた矛盾と焦り
日本歯科大学教授・都築民幸氏、講師・岩原香織氏のケース
[証言03]
精神科医が警鐘を鳴らす、出口の見えない悲しみ
東京都医学総合研究所副所長・飛鳥井望氏のケース
第2章 遺族は「家族の死」をどうとらえたか
[証言04]
「原発の町」で娘を捜し続けた父親の苦しみ
神奈川県横須賀市の喫茶店主・白川司氏のケース
[証言05]
生きている限り、夫、娘、息子が生きた証しを残したい
宮城県東松島市の看護師・尾形妙子氏のケース
[証言06]
取り残されたマンションで祈り続けた家族の無事
石巻葬儀社専務・太田かおり氏のケース
[証言07]
避難誘導中に家族3人を失った店主の「枯れ果てた涙」
岩手県陸前高田市の電気店主・吉田寛氏のケース
[証言08]
遺族を告訴に踏み切らせた震災被害の迷宮
神奈川県・金子家規氏、東京都・小林一雄氏のケース
第3章 捜索者が「津波の現場」で感じたこと
[証言09]
消防団員253人の犠牲者を生んだ「社会構造の矛盾」
岩手県釜石市の消防団員・大森秀樹氏のケース
[証言10]
津波の上空を飛んだ警察官の絶望と絶えぬ執念
宮城県航空隊機長・成田聡氏、操縦士・平仁氏のケース
[証言11]
嗅覚を失うまで行方不明者を捜し続けた“小さな勇者”
災害救助犬調教師・村田忍氏と救助犬・レイラのケース
[証言12]
危険な海底で潜水士が見た「津波の教訓」とは?
海上保安庁巡視船「おきつ」の潜水班長・大谷直耕氏のケース
[証言13]
自衛官が“実弾を撃たない実戦”で経験した激務
参議院議員・佐藤正久氏(自民党)のケース
第4章 メディアは「死」をいかに報じたか
[証言14]
毎日新聞が「3月11日」に挑み続ける理由
毎日新聞社編集編成局次長・広田勝己氏、社会部副部長・早坂文宏氏のケース
[証言15]
“理不尽な死”と向かい合う「週刊文春」の写真報道
「週刊文春」編集次長・矢内浩祐氏、カメラマン・志水隆氏のケース
[証言16]
被災者・遺族を包み込む、無邪気で残酷な空気
筆者が取材を通じて出会った被災者や遺族のケース
第5章 なぜ、ここまで死者が増えたのか
[証言17]
世界一残酷だった「引き波」と「滝つぼ現象」の破壊力
東京大学地震研究所准教授・都司嘉宣氏のケース
[証言18]
なぜ、津波の常襲地帯で被害が拡大したのか
NPO法人環境防災総合政策研究機構理事・松尾一郎氏のケース
[証言19]
「釜石の奇跡」の立役者が語る、安全神話の虚構
群馬大学大学院教授・片田敏孝氏のケース
[証言20]
死を無駄にしないために、被災地の現実を見て欲しい
衆議院議員・黄川田徹氏(民主党)のケース
遺族、検死医、消防団員、救助犬調教師、潜水士、防災学者…数々の証言から死者・行方不明者2万人の実態に迫る。死を見つめなければ、生は始まらない―3・11の喪失を描く迫真のノンフィクション。
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