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子ども時代の切ない思いを追想した小説「図書室」と、自伝エッセイ「給水塔」、どちらも、地味ではあるが、こころにしみいる。
岸さんの言葉を選び、紡いでいくセンスは、極上のものだ。本人は、「給水塔」であまり勉強してこなかったと振り返っているが、大ウソ。猛勉強してないと、こんなパーフェクトな作品を書けるわけない。
「給水塔」では、大阪の地に生きるさまざまな人々の思いが実にいきいきと描かれている。短編なのだが、長編エッセイで膨大な人物群像を読んだ思いがした。
定職も貯金もある。一人暮らしだけど不満はない。思い出されるのは、小学生の頃に通った、あの古い公民館の小さな図書室のこと―ひとりの女性の追憶を描いた中篇と自伝エッセイを収録。
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