笙野頼子,2023,母の発達・アケボノノ帯,岩波書店.(3.1.24)
うーん、内容を手短に紹介するのが難しい小説だな。
作中では毒親で大柄で抑圧的な母が、娘の幻覚の中で小さくされたり、或いは実際に殺された結果、虫っぽくて面白いお母さんに生まれ変わったりする。おならで家を吹き飛ばし、その糞は劇薬であるという破壊神の母になる。ところで、・・・。
(p.233.)
そんな小説。
欲を言えば、もっと毒、がほしかったなあ。
「私は、再編成をしとるのやな。世間が母やという偽の母をやっつける、正義の味方みたようなおかあさんになるためにな」母は縮んで殺されて、五十音に分裂して再生した。母性神話という着ぐるみを脱いで喰らってウンコにした宇宙一の悪母、一読必笑、悩みも吹っ飛ぶ最強のおかあさん小説が二一世紀に再来する。幻の怪作「アケボノノ帯」、自著解題「原始、お母さんは小さかった」を収録。