東電社員殺人事件がらみで手に取ってみたんだが、「税理士をしながらSM嬢、高校教師でありながらホテトル嬢、会社を経営しながらソープランド嬢など。15人の風俗嬢には、どうして“ふたつの顔”が必要なのか」、インタビューを試みた本。
で、知らない世界を見たい気持ちは充たされたものの、たいした衝撃は受けなかったな。要するに、ロマンティック・ラブの観念をひとまず捨て去り、まったくの異物をお金と引き換えに受け入れる割り切りができれば、だれだって「眠らない女」になれるだろう。
セックスワークを、「男の性暴力」の一種として糾弾するフェミニズムのとらえ方があるが、本書を読んでも、ちょっと違うのではないか、という違和感がつのる。もちろん、構造的な女性差別が現にあって、貧困ゆえにセックスワークに従事せざるをえない問題は一方にあって、それは許されることではないが、そうした問題系から外れた当事者の事例もたくさんあることは知っておくべきだろう。「自発的」なセックスワーカーがいる以上、当事者たちを「闇のなか」に捨て置くのではなく、「人間」として「労働者」として、身の安全の保障はもちろんのこと、「労働者」として保護していく手立てが必要ではないのだろうか。
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