Michael JacksonやCyndi Lauperの曲をカバーした本作は、往年のファンには不評だったようだが、Miles Davis、その数々の名作のなかでも、わたしは本作がダントツに好きだ。
強烈なリズムセクションのうえを自在にとびかい饒舌に歌うトランペット。大音量で聴きたいアルバムだ。
85年に発表したマイルスのコロンビアにおけるラスト・アルバム。長い音楽生活の最後にマイルスがたどり着いたのが、本作に聴かれるポップな世界だった。当時のマイルスはマイケル・ジャクソンとプリンスに関心を寄せていたそうで、本作でもマイケルの「ヒューマン・ネイチャー」とシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」をカヴァーしているが、この2曲は91年に亡くなるまでマイルスがライヴでかならず演奏した重要なレパートリーだった。したがって、本作に聴かれるヒップホップ感覚のポップ・サウンドは、マイルス・ミュージックの集大成といってもいい。冒頭の曲にスティングが特別参加して警官役を演じているのも楽しい。余談ながら、スティングの参加は予定外の出来事だったので、そのギャラはマイルスが自腹を切ったのだとか。プロデュースはマイルスとロバート・アーヴィングIII、ヴィンス・ウィルバーンJr.の3人。ボブ・バーグ、ジョン・マクラフリン、ジョン・スコフィールドらのソロもたっぷりと聴ける。(市川正二)
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